毎日新聞掲載の被災者写真、生成AIで加工か 偽画像がSNSで拡散
毎日新聞が掲載した被災者の写真が生成AIで加工され、偽画像としてSNS上で拡散していたことが分かりました。被災者からは実情を否定されたような気持ちになったとの声が上がっています。
毎日新聞が報道の一環として掲載した被災者の写真が、生成AIによって加工されたとみられる偽画像としてSNS上で拡散していたことが明らかになりました。オリジナルの報道写真とは異なる細部の改変が加えられており、閲覧者に誤った印象を与える形で不特定多数に共有されていたとみられます。
拡散した画像を巡っては、写真に写っていた被災者本人から「被災の実情が否定された気持ちになった」との声が伝えられています。報道写真が本来伝えるべき現地の状況とは異なる文脈で改変・流通したことで、当事者の心情を傷つける事態となっています。
背景には、画像生成AI技術の急速な普及があります。近年、実在の写真を基にした画像の加工や合成は、専門的な知識がなくても短時間で行えるようになっており、真偽の判別が難しい精巧な偽画像がSNS上で拡散するケースが国内外で相次いで報告されています。報道機関が撮影・掲載した写真であっても、一度ネット上に公開されれば第三者による無断加工や転用のリスクを避けられない状況が浮き彫りになった形です。
新聞社など報道機関にとっては、著作権や肖像権の侵害に加え、報道の信頼性そのものが揺らぎかねない深刻な問題といえます。特に災害報道においては、被災者の尊厳や心情への配慮が強く求められる中で、偽画像の拡散は取材対象者との信頼関係を損なう恐れがあるとみられています。
SNSプラットフォーム各社は、AIによって生成・加工されたコンテンツに対するラベル表示や検出技術の導入を進めていますが、拡散のスピードに対策が追いついていないとの指摘も業界関係者から出ています。偽画像の投稿主の特定や削除要請には一定の時間を要するケースが多く、根本的な解決には至っていないのが実情です。
今後は、報道機関による偽画像の検証体制の強化や、SNS事業者による生成AIコンテンツの検出・表示技術のさらなる高度化が求められるとみられます。また、利用者側にも真偽を見極めるリテラシーの向上が必要とされており、行政や業界団体を含めた対策の議論が今後さらに活発化していく可能性があります。
