中国エンタメ界にAI俳優の波、スマホ向け短編ドラマで存在感
中国のエンタメ業界でAIが生成した「AI俳優」がスマホ向け短編ドラマや映画制作に活用される動きが広がっています。制作コスト削減とスピード感が背景にあるとみられます。
中国のエンタメ業界で、生成AIが作り出した「AI俳優」を起用したコンテンツが存在感を増しています。実在の俳優を使わず、AIが人物の顔や表情、動きを生成して演技させる手法が、スマホ向けの短編ドラマや低予算映画の制作現場で広がっているとみられます。
背景には、動画生成AI技術の急速な進化があります。数年前まで映像生成AIは短時間かつ低解像度の映像しか作れませんでしたが、近年は人物の表情や口の動き、自然な仕草まで再現できる水準に達しているとされています。制作会社にとっては、俳優のキャスティングやスケジュール調整、撮影現場の手配といった従来のプロセスを省略でき、制作期間とコストを大幅に圧縮できる点が魅力とされています。
特にスマホ向けの短編ドラマ市場では、AI俳優の活用が加速しているとの報道があります。短編ドラマは1話数分程度の作品を数十話にわたって配信する形式が主流で、制作本数が多く回転が速いことから、AIによる効率化のメリットが大きいとされています。中国国内では短編ドラマ市場自体が急速に拡大しており、関連する制作・配信プラットフォームの利用者数も増加傾向にあると伝えられています。
一方で、映画分野でもAI生成技術を活用した作品づくりが試みられているとみられます。実写とAI生成映像を組み合わせるハイブリッド型の制作手法が模索されており、視覚効果や背景美術だけでなく、登場人物そのものをAIで生成する試みも一部で進んでいるとされています。ただし、長編映画でのAI俳優の本格採用については、演技の自然さや観客の受容度など課題が残るとの見方も業界関係者の間で示されています。
こうした動きは、俳優の肖像権や著作権、雇用への影響といった論点も呼び起こしています。AIが生成した人物像が実在の俳優と混同されるリスクや、AI俳優の普及によって新人俳優やエキストラの仕事が減少する懸念について、業界関係者から指摘が出ているとされます。中国では映像コンテンツにAI生成物が含まれる場合の表示義務など、関連する規制の整備も進められているとみられます。
今後については、AI俳優を活用したコンテンツの制作本数がさらに増える可能性が指摘されています。技術面では表情や演技の精度が一段と高まるとみられ、コスト面でも生成AIの利用料が下がることで中小の制作会社にも普及が進むと予想されます。一方で、法整備や倫理的な議論、視聴者の受容度といった課題への対応が、AI俳優が本格的に業界の主流となるかどうかを左右する要因になるとみられます。
