AI小説の応募急増、文学賞の選考体制に負担広がる
生成AIで作成された小説の文学賞への応募が増加し、選考コストの増大が公募新人賞の運営を圧迫しているとみられます。存続を懸念する声も出ています。
生成AIを活用して執筆された小説作品が、国内の文学賞への応募において急増していることが報道ベースで明らかになりました。複数の公募新人賞の運営関係者によると、ここ1〜2年でAI生成が疑われる応募作品の割合が数倍に増えたとみられ、選考にかかる時間とコストの増大が課題として浮上しています。
背景には、ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な普及があります。2022年末以降、文章生成AIの精度は飛躍的に向上し、一般利用者でも数分で数千字規模の小説を作成できる環境が整いました。従来、文学賞への応募には一定の執筆時間と労力が必要でしたが、AIの登場により応募のハードルが大きく下がったことが、応募数増加の一因とみられています。
この結果、多くの新人賞では一次選考の段階でAI生成作品かどうかを見極める作業が新たに発生しています。文体の均質性や特定の言い回しの繰り返しなど、AI生成に特有とされる傾向を手掛かりに選別を行っている賞もあるとされますが、判別技術は完全ではなく、選考委員の負担は増す一方だと業界関係者は指摘しています。
選考コストの増大は、特に予算規模の小さい公募新人賞にとって深刻な問題とされています。応募数が数千件規模に達する賞では、一次選考だけで相当な人件費が必要となり、AI生成作品の混入によって実質的な選考対象が水増しされる形になっているとの見方もあります。運営体制の見直しや、応募規約でのAI利用に関するルール明確化を検討する動きも一部で出てきているとみられます。
一方で、AIを執筆補助として部分的に活用した作品と、全面的にAI任せで生成された作品との線引きは容易ではなく、一律に排除することへの慎重論も存在します。表現の自由や創作の多様性を尊重する観点から、応募規定の設計には慎重な議論が必要だとの指摘も上がっています。
今後については、AI生成コンテンツの判別技術の高度化や、文学賞ごとのガイドライン整備が急務になるとみられます。文化庁や出版業界団体などが具体的な指針を示すかどうかも注目されるところで、公募新人賞という制度そのものの在り方が、生成AI時代において改めて問われる局面を迎えているといえそうです。
