NEC、防衛装備庁と水中音響AI研究開始 対潜哨戒能力向上へ
NECが防衛装備庁との共同研究で水中音響データをAI解析する技術開発に着手したと報じられました。対潜哨戒能力の向上につながる技術として注目されています。
NECは、防衛装備庁との共同研究として水中音響データをAIで解析する技術の開発を開始したと報じられました。海外メディアも同日、この取り組みを伝えており、防衛分野におけるAI応用の具体事例として関心を集めています。
今回の研究は、潜水艦などが発する音響信号をセンサーで収集し、AIが解析することで探知精度や識別能力を高めることを目的としているとみられます。従来、水中音響データの解析は熟練した技術者の経験や勘に頼る部分が大きく、人材育成にも時間がかかるとされてきました。AIによる自動解析が実用化されれば、対潜哨戒活動の効率化に寄与する可能性があります。
背景には、日本周辺海域における艦艇の活動が近年活発化しているとの指摘があり、防衛省・自衛隊は水中における警戒監視能力の強化を課題としてきました。政府は防衛費についてGDP比2%への引き上げを目標として掲げており、こうした予算の一部が先端技術の研究開発にも充てられているとみられます。
NECはこれまで顔認証など画像・信号処理分野のAI技術で実績を積んできた企業として知られています。近年は防衛・安全保障分野への事業展開を進めており、今回の水中音響AI研究もその一環と位置づけられます。民生分野で培った技術を防衛用途に応用する動きは、国内の大手電機・IT企業の間で広がりつつあります。
海外に目を向けると、米国や欧州各国でも水中センサーとAIを組み合わせた対潜戦技術の研究が進められているとされ、各国が海中における優位性の確保を重視する傾向がうかがえます。日本においても、周辺国の潜水艦戦力の増強が指摘される中、水中領域での技術開発の重要性は増しているとの見方が業界関係者の間にあります。
今後については、研究の進展に伴い実証試験や実装段階への移行が焦点となる見通しです。防衛装備品への技術転用には一定の期間を要するとみられ、実用化の時期は現時点で明らかにされていません。今回の共同研究が、日本の防衛技術力の底上げや民間企業の防衛分野参入の一つの契機となるか、今後の動向が注目されます。
