高市総理、自衛隊指揮官幹部会同で訓示 防衛三文書の年内改定表明
高市早苗総理は9月2日、防衛省で開かれた令和8年度自衛隊指揮官幹部会同に出席し、熊本地震での災害派遣への謝意を示すとともに、現行の防衛three文書を年内に改定する方針を明らかにしました。
高市早苗総理は9月2日、防衛省市ヶ谷庁舎A棟2階講堂で開かれた「令和8年度自衛隊指揮官幹部会同」に出席し、自衛隊最高指揮官として訓示を行いました。会同には小泉防衛大臣をはじめ、各幕僚長や部隊・機関の長など約160名の指揮官幹部が参加し、午前10時40分から11時までの日程で実施されました。防衛省の政策方針を自衛隊の指揮官等に周知徹底させることを目的とした会同で、総理は自衛隊が今後果たすべき役割や組織のあり方について語りました。
訓示の中では、まず7月に発生した熊本地震への対応が取り上げられました。自衛隊は発災直後から航空機による情報収集や、イオンモール熊本をはじめとする各地での人命救助にあたったほか、被災者の生活を支える物資輸送、給水、入浴支援を実施しました。さらに看護官による健康面でのケアや、艦艇でのキッズスペース設置など、幅広い支援活動を展開したと報告を受けているとし、身を粉にして任務にあたった隊員全員への感謝と敬意が示されました。
訓示ではまた、災害派遣以外の日常的な任務にも言及がありました。中東・アフリカ地域での海賊対処行動や情報収集活動、日本の領土・領海・領空を守るための24時間365日態勢の警戒監視活動など、昼夜を問わない活動の積み重ねが国民からの信頼につながっていると強調されました。こうした活動を通じて築かれた自衛隊への信頼を、今後さらに強固なものとしていくよう、指揮官幹部への期待が語られました。
焦点の一つとなったのが、防衛政策の根幹をなす「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」のいわゆる「三文書」の改定方針です。2022年の策定から4年足らずの間にも安全保障環境は一層複雑化しているとの認識が示され、各国がAIの活用や無人機の大量運用を可能とする体制構築、事態長期化への備えを急いでいる状況を踏まえ、今年中に三文書を改定し、防衛力強化の新たな方向性を打ち出す考えが明らかにされました。
訓示では、AIや無人アセットなど従来型装備とは進歩の速度が異なる技術の導入にあたり、既存の組織や制度のままで対応できるかを不断に見直す必要性も指摘されました。松下政経塾で薫陶を受けたという松下幸之助氏の「衆知を集める」という考え方に触れながら、現場の声を吸い上げる仕組みづくりの重要性が語られ、AI・無人アセット・宇宙・サイバー・電磁波といった専門領域の知見を結集する必要性が示されました。
隊員の処遇面についても言及があり、十分な予算や優れた装備品があっても最後にそれを動かすのは「人」であるとの考えのもと、隊員一人一人が力を発揮できる環境づくりが指揮官幹部に求められると述べられました。総理自身としても、自衛官の処遇改善などを通じた環境整備を進めていく方針が示されました。
今後は、年内に予定される三文書の改定作業が本格化する見通しです。AIや無人機の活用、宇宙・サイバー・電磁波領域への対応など、防衛力整備計画の具体的な内容がどのように議論されていくか、また自衛官の処遇改善策がどのような形で実現していくかが注目されます。防衛省は訓示の詳細を今後ホームページに掲載する予定で、具体的な政策への反映状況についても引き続き情報が公開されるとみられます。
