イタリアで24日に実施された憲法改正に関する国民投票で、ジョルジャ・メローニ首相(49)が推進していた憲法改正案が賛成43.2%、反対56.8%で否決された。投票率は67.4%と高い関心を集めた中での敗北となり、2022年10月の就任以来、メローニ首相にとって初の重大な政治的挫折となった。
今回の憲法改正案は、首相の直接選挙制導入と上院の権限縮小を柱とするもので、メローニ首相は「政治の安定化」を掲げて国民に支持を訴えていた。しかし、野党各党は「民主主義の破壊」として強く反対し、特に中道左派の民主党とポピュリスト政党「五つ星運動」が結束して反対キャンペーンを展開した。
敗北を受けてメローニ首相は25日未明、首相官邸で記者会見を開き、「国民の判断を真摯に受け止める」と述べた。一方で辞任については「政権運営に全力で取り組む」として否定した。しかし、与党「イタリアの同胞」の支持率は、投票直前の調査で32%と、政権発足時の26%から上昇していたものの、今回の敗北で政治的求心力の低下は避けられない見通しだ。
イタリア政治に詳しいボッコーニ大学のマルコ・タッラドーリ教授は「メローニ首相の政治的権威に深刻な打撃となる」と分析する。特に連立を組む「同盟」のサルヴィーニ党首や「フォルツァ・イタリア」のタヤーニ党首との関係に微妙な変化が生じる可能性があると指摘している。
経済面でも影響が出始めており、25日のミラノ証券取引所では銀行株を中心に売りが先行し、FTSE MIB指数は前日比1.8%安で取引を開始した。10年物国債の利回りも一時3.9%まで上昇し、政治的不安定化への懸念が金融市場にも波及している。
野党側は今回の勝利を機に攻勢を強める構えで、民主党のシュライン書記長は「メローニ政権の失政が明らかになった」として、経済政策や移民政策での追及を強める方針を表明した。また、五つ星運動のコンテ党首も早期の総選挙実施を求める姿勢を示している。
今後メローニ首相は、4月に予定されているEU首脳会議や5月のG7サミットを控え、国内の政治的混乱を収拾しながら国際舞台での存在感を維持する必要に迫られる。憲法改正の挫折により、残る任期での政治的レガシー構築は一層困難になったとの見方が政治関係者の間では支配的だ。