障害児やその家族への支援拡充を目的とした3つの法案が29日、国会に提出されました。「特別児童扶養手当等支給法案」「障害児福祉に係る所得制限撤廃法案」「18歳の壁法案」で、いずれも現在の障害児福祉制度が抱える課題の解決を図る内容となっています。
このうち「障害児福祉に係る所得制限撤廃法案」は、現行制度で設けられている世帯所得による給付制限を撤廃することが主な内容です。現在、特別児童扶養手当は扶養義務者の所得が一定額を超えると支給が停止される仕組みとなっており、報道ベースでは年収約630万円程度が目安とされています。法案が成立すれば、所得水準に関わらず障害児を持つ全世帯が対象となる見込みです。
「18歳の壁法案」は、障害児が成人に達する際に生じる福祉サービスの切り替えに伴う課題を解決することを目指しています。現行制度では、18歳を境に児童福祉法から障害者総合支援法へと適用法令が変わるため、これまで受けていたサービスが継続できなくなるケースが指摘されています。業界関係者によると、この「18歳の壁」により支援の空白期間が生じる問題は長年の課題となっていました。
厚生労働省の統計によると、特別児童扶養手当の受給者数は2024年度時点で推計約25万人となっています。また、障害児通所支援を利用する児童数は同年度で約40万人に上るとみられ、今回の法案による影響は広範囲に及ぶ可能性があります。所得制限の撤廃により、新たに数万世帯が給付対象となる見通しです。
これらの法案の背景には、障害児を持つ家族の経済的負担軽減と、成長に応じた切れ目のない支援体制の構築という政策課題があります。関係者は、近年の物価上昇や社会保障制度への関心の高まりを受け、障害児福祉の充実が急務となっていると指摘しています。一方で、制度拡充に伴う財政負担の増加については、今後の予算審議で議論される見込みです。
法案は今後、衆参両院での審議を経て成立を目指します。与野党間では障害児支援の必要性について一定の理解が共有されているとみられますが、財源確保の方法や実施時期などについては議論が分かれる可能性もあります。専門家は、障害児福祉制度の抜本的見直しに向けた重要な一歩として注目されるとしており、成立すれば多くの家族にとって支援拡充につながると期待されています。
