京大病院で医療事故 脳腫瘍手術で正常脳組織を誤摘出
京都大学医学部附属病院で脳腫瘍の摘出手術中に正常な脳組織を誤って切除する医療事故が発生し、患者は自発呼吸ができない状態になっていることがわかりました。病院側は謝罪し、事故の経緯を説明しています。
京都大学医学部附属病院(京都市左京区)で脳腫瘍の摘出手術を受けた患者に対し、誤って正常な脳の組織の一部を摘出する医療事故が発生していたことがわかりました。病院側は記者会見を開き、事故の事実を公表するとともに患者と家族に謝罪しました。
報道によりますと、手術は脳腫瘍を摘出する目的で実施されましたが、執刀した医師らが手術中に正常な脳組織と腫瘍組織を取り違え、誤って正常な部位の一部を摘出したとみられています。損傷した部位には呼吸中枢が集まる脳幹などが含まれており、手術後、患者は自発呼吸ができない状態になっているということです。
病院側は事故の発生を確認し、院内に調査委員会を設置して詳しい経緯の検証を進める方針を示しています。手術中の画像診断や部位の確認手順に問題がなかったか、医療スタッフ間の情報共有が適切であったかなど、複数の観点から原因の特定が急がれる見通しです。
脳腫瘍の摘出手術は、腫瘍組織と正常な脳組織の境界が判別しにくいケースが少なくなく、手術用顕微鏡や術中画像診断装置(MRIなど)を活用しながら慎重に進められるのが一般的とされています。それでも脳幹に近い部位の手術は極めて高度な技術と経験が求められ、わずかな誤認が重大な後遺症につながるリスクが指摘されています。
厚生労働省が定める医療事故調査制度では、医療行為に関連した予期しない死亡や重篤な症例が発生した場合、医療機関は日本医療安全調査機構への報告が義務付けられています。今回のケースも同制度に基づく報告や調査の対象となる可能性があり、今後、第三者による検証が行われるとみられています。
患者の家族への説明や補償のあり方についても、病院側の対応が注目されています。医療事故の被害者や家族への情報開示の充実、再発防止策の実効性をどう確保するかは、医療界全体にとっても重要な課題として受け止められています。
今後、京都大学医学部附属病院は調査委員会による検証結果を踏まえ、再発防止策を公表する見通しです。手術部位の確認手順の見直しや、術中画像診断の運用強化など、具体的な改善策が示されるか注視されます。同様の事故を防ぐため、他の医療機関でも脳神経外科手術における安全管理体制の再確認が進むことが見込まれます。
