透析用チューブや手袋、99%超が海外頼み 医療物資に供給リスク
透析用チューブや医療用手袋など重要な医療物資の99%以上が海外からの輸入に依存していることが判明しました。専門家は供給リスクへの懸念を示しています。
透析治療に不可欠なチューブや医療用手袋などの医療物資について、国内需要の99%以上を海外からの輸入に依存していることが明らかになりました。新型コロナウイルス感染症の拡大時に医療物資の供給不足が問題となって以降、医療現場では安定供給への懸念が高まっています。
医療機器業界の調査によると、透析用の血液回路チューブは国内需要の約99.5%が中国、マレーシア、タイなどのアジア諸国からの輸入品が占めています。また、医療用ゴム手袋については99.8%が海外製で、特にマレーシアとタイの2カ国で全体の約85%を占める状況となっています。
国内の透析患者数は約34万人にのぼり、年々増加傾向にあります。透析治療は週3回の定期的な実施が必要で、1回の治療につき複数のチューブセットが使用されるため、年間で数千万セットの需要があるとみられています。このような大量消費される医療物資が海外依存となっていることで、輸送遅延や製造国での生産トラブルが直接的に国内の医療提供体制に影響を与えるリスクが指摘されています。
コロナ禍では、中国での工場操業停止や物流網の混乱により、医療用マスクや防護服の供給が逼迫しました。この経験を踏まえ、厚生労働省は2021年から医療物資の安定供給に向けた検討を進めていますが、透析用機器については具体的な対策の実施には至っていない状況です。
医療機器メーカーの関係者は、国内生産への回帰について「人件費や設備投資の面でコスト競争力の確保が課題」と説明しています。一方で、一部のメーカーでは災害時や緊急時に備えた在庫の積み増しや、調達先の分散化を進める動きも見られています。
透析医療を提供する医療機関においても、物資調達の課題は深刻です。透析用チューブは使い捨て製品のため継続的な調達が必要で、供給が途絶えた場合は治療の継続が困難になる可能性があります。業界関係者は「数日分の在庫しか持てない医療機関が多く、供給途絶への備えは十分ではない」と指摘しています。
今後は、医療物資の安定供給を確保するため、国内生産能力の向上や調達先の多様化、戦略的備蓄の拡充などが重要な課題となります。また、医療機関レベルでの在庫管理の見直しや、地域間での相互支援体制の構築なども求められており、官民一体となった取り組みが期待されています。
