深刻化する医療・介護分野の人材不足を受け、政府の専門分科会が医療や介護の担い手確保に向けた包括的な対策を5月中にとりまとめる方針を固めたことが17日、関係者への取材で明らかになりました。高齢化の進展と医療技術の高度化により、医療・介護従事者の需要が急激に増加する一方、人材の確保が追いついていない現状を踏まえた措置となります。
厚生労働省の推計によると、2025年時点で介護職員は約32万人が不足するとされており、医療分野においても看護師や薬剤師などの専門職の人手不足が深刻化しています。特に地方部では医師の偏在も加わり、医療体制の維持が困難な地域も出てきています。
分科会で検討されている対策には、処遇改善による待遇向上、外国人材の活用拡大、デジタル技術を活用した業務効率化の推進などが含まれているとみられます。また、医療・介護分野への新規参入を促進するための教育制度の充実や、離職率の改善に向けた職場環境の整備なども議題に上がっています。
人材確保策の背景には、2024年度の介護離職率が16.7%(推計)と高い水準で推移していることがあります。業界関係者によると、身体的・精神的な負担の大きさや、他業界と比較して相対的に低い賃金水準が離職の主な要因として挙げられています。
外国人材の活用については、現在の技能実習制度や特定技能制度の拡充に加え、新たな在留資格の創設も検討課題となっています。一方で、言語の壁や文化的な違いへの対応、適切な研修体制の構築など、受け入れ体制の整備も重要な課題として位置づけられています。
デジタル化の推進では、AI技術を活用した診断支援システムの導入や、介護記録のデジタル化による事務負担の軽減などが期待されています。これらの取り組みにより、限られた人材でもより効率的に業務を遂行できる環境の整備を目指すとしています。
分科会のとりまとめを受けて、政府は2026年度補正予算や2027年度当初予算への関連予算の計上を検討する見通しです。超高齢社会を迎える中、医療・介護分野の人材確保は国の重要政策として位置づけられており、今回の対策が実効性のある施策となるかが注目されます。
