「内密出産法案」国民民主が議員立法で提出、受け入れ機関確保を促進
国民民主党が母親の身元を伏せた出産を可能にする「内密出産法案」を議員立法として国会に提出しました。受け入れ医療機関の確保を促すことが主な目的とされています。
国民民主党は19日、母親の身元を明かさずに出産できる「内密出産」の環境整備を図る法案を議員立法として国会に提出しました。現在、熊本市の慈恵病院のみで実施されている内密出産について、全国的な受け入れ体制の構築を目指す内容となっています。
提出された法案は、内密出産を受け入れる医療機関の確保促進が主な柱となっており、国や地方自治体に対して必要な支援体制の整備を求めています。現行制度では法的な根拠が不十分とされる中、内密出産を行う医療機関への財政支援や、出生届の取り扱いに関する明確な規定を盛り込んでいるとみられます。
内密出産は、様々な事情で妊娠・出産を周囲に知られたくない女性が、医療機関に対してのみ身元を明かして出産する仕組みです。慈恵病院では2019年12月から内密出産の受け入れを開始し、これまでに複数の事例があると報告されています。一方で、出生届の記載や子どもの出自を知る権利など、法的課題も指摘されてきました。
ドイツやフランスなど欧州諸国では内密出産が法制化されており、年間数百件から数千件の利用があるとされています。日本でも望まない妊娠による新生児遺棄事件の防止策として、内密出産制度への期待が高まっていました。厚生労働省の検討会では制度化に向けた議論が続いていましたが、具体的な法案の成立には至っていませんでした。
法案をめぐっては、子どもの出自を知る権利との両立や、虐待防止との関係など、慎重な検討が必要とする声もあります。また、内密出産を実施する医療機関の人材確保や、カウンセリング体制の整備なども課題として挙げられています。与党側からは、制度の詳細設計について十分な審議が必要との見方も示されています。
今後は衆議院での審議を経て、法案の成立可能性が注目されます。野党提出の議員立法として、与党の理解を得られるかが焦点となりそうです。内密出産制度の法制化により、困難な状況にある妊婦への支援体制強化と、新生児の安全確保の両立が期待される一方で、関連する課題の解決に向けた議論の深化も求められています。
