選挙SNS対策法案が衆院通過 偽情報規制と電子メール投票依頼を解禁
選挙におけるSNS上の偽情報対策を強化するとともに、電子メールによる投票依頼を解禁する法案が衆議院を通過した。衆院政治改革特別委員会での全会一致の可決を経て、参院での審議へと移る。
選挙期間中のSNSを通じた偽情報の拡散を規制し、あわせて電子メールによる投票依頼を解禁する「選挙SNS対策法案」が2026年6月26日、衆議院本会議を通過しました。同法案は衆院政治改革特別委員会での審議を経て全会一致で可決されており、与野党が広く賛同する異例の展開となっています。今後は参議院に送付され、審議が継続される見通しです。
今回の法案の柱は大きく二つあります。一つ目は、選挙期間中にSNS上で候補者や政党に関する虚偽情報を故意に拡散した場合に対する規制強化です。プラットフォーム事業者に対して、選挙管理委員会などの公的機関からの通報を受けた際に一定期間内での対応を義務づける仕組みが盛り込まれています。違反した場合の対応措置については、今後の政令や指針で詳細が定められるとみられます。
二つ目の柱は、これまで公職選挙法上で原則禁止とされてきた電子メールによる投票依頼の解禁です。現行法では、選挙運動としての電子メール送信は政党や政治家本人に限定されており、一般の支持者が有権者に対してメールで投票を呼びかけることは認められていませんでした。今回の改正により、有権者が知人・友人らに電子メールで特定候補への投票を依頼する行為が一定の条件のもとで合法化されます。インターネット選挙運動の一層の拡充につながるとして、選挙活動のデジタル化を推進する観点からも注目を集めています。
委員会での審議では、日本共産党の塩川鉄也議員が「有権者の自由を拡大する方向性は評価できる」として賛成の立場を表明したと伝えられており、野党側からも概ね支持を得た形となっています。一方で、偽情報の認定基準があいまいになれば正当な批判的言論を萎縮させかねないという懸念も一部の論者から示されており、運用面での透明性確保が今後の課題として残ります。
背景には、近年の国政選挙や地方選挙において、SNS上での根拠不明な情報や候補者への誹謗中傷が有権者の判断に影響を与えるケースが相次いでいるという問題意識があります。特に2025年の参院選や複数の知事選では、特定候補に関する虚偽情報が短期間で大量に拡散し、選挙管理当局や候補者陣営が対応に追われる事態が報告されています。こうした実態を踏まえ、法整備を求める声が与野党を超えて高まっていました。
また、日本では公職選挙法が長年にわたって選挙運動の手段を厳しく限定してきた歴史があり、インターネットを使った選挙運動が解禁されたのは2013年のことです。その後もメールによる投票依頼は限定的な範囲にとどまっており、今回の改正はその制限をさらに緩和するものとして、公選法改正の流れの一つとして位置づけられます。
法案は今後、参議院での審議を経て成立すれば、次の国政選挙から適用される可能性があります。ただし、プラットフォーム事業者への対応義務の範囲や、偽情報の判定プロセスの中立性をどう担保するかについては、政省令レベルでの詳細な制度設計が必要とみられ、実効性を確保するための議論はなお続く見込みです。選挙のデジタル化が進む中、有権者の知る権利と自由な表現をいかに守りながら偽情報に対処するかが、引き続き問われることになります。
