「国旗損壊罪」法案が委員会で可決 提出4党とみらいが賛成
日本国旗の損壊を刑事罰の対象とする「国旗損壊罪」創設法案が、衆議院委員会で賛成多数により可決された。審議では提出者側の説明と賛成議員の答弁に食い違いも浮上している。
日本の国旗(日章旗)を故意に損壊した場合に刑事罰を科す「国旗損壊罪」の創設を盛り込んだ法案が、2026年6月26日、衆議院の関連委員会において賛成多数で可決されました。賛成したのは法案を共同提出した4党と、みらい党です。法案は今後、衆議院本会議での採決に向けて手続きが進む見通しです。
この法案は、外国の国旗を損壊した場合に刑事罰を定める刑法92条(外国国章損壊罪)が存在する一方、日本の国旗には同等の保護規定がないという「非対称性」を問題視する意見を背景に提出されました。提出側の説明によれば、法案の主な目的は「国際的な法整合性の確保」および「公共の秩序維持」にあるとされています。
ただし審議の過程では、提出者側の公式説明と個々の賛成議員の答弁との間に、認識のずれが生じている点が野党側から指摘されました。日本維新の会の一部議員が委員会審議の場で「愛国心の醸成」を法案の意義として挙げたことが、自民党が示してきた「法的整合性の修正」という説明と矛盾するとして問題視されています。法律の立法趣旨と個々の議員の発言が一致しない場合、将来の解釈運用に影響を及ぼす可能性があるとして、法学の専門家からも懸念の声が上がっています。
反対側の野党議員らは「表現の自由」との兼ね合いを最大の論点として挙げています。日本国憲法21条が保障する表現の自由には、象徴的表現行為(シンボリック・スピーチ)も含まれるとする解釈が広く共有されており、国旗の取り扱いを通じた政治的意思表示を刑事罰の対象とすることは、同条との緊張関係を生む可能性があります。反対議員側は「処罰範囲が曖昧であり、拡大解釈のリスクがある」と主張しています。
国旗損壊罪をめぐる立法論議は、2000年代の国旗・国歌法(日の丸・君が代法)成立以降も断続的に続いてきた経緯があります。過去にも複数回、類似の法案が議員立法として提出されてきましたが、いずれも成立には至りませんでした。今回は提出会派が5党に及んでいること、また委員会段階で可決にこぎ着けたことから、過去の審議と比較して立法化に向けた勢いがあるとみられます。
一方、市民社会や報道・言論関係者の間では、抗議活動やアート表現への萎縮効果を懸念する声も出ています。過去の国際事例を見ると、米国では連邦最高裁が国旗焼却を憲法上の表現行為と認めた判例(テキサス州対ジョンソン事件、1989年)があるなど、各国で対応が分かれており、日本の立法が国際的な表現の自由基準と整合するかどうかについても注目されています。
法案は今後、衆議院本会議での採決を経て参議院へ送られる手順となります。参議院での審議日程や賛否の行方はなお流動的であり、本会議採決の時期も含めて不透明な部分が残ります。「愛国心醸成」をめぐる答弁の矛盾が本会議や参議院審議でも追及される可能性があり、法案の立法趣旨の整理と表現の自由との調整が、今後の焦点となりそうです。
