銀行28社が連合、AIチャットで個人資産運用を一括完結へ 28年度実現目標
国内銀行28社が連合を組み、AIチャットによる個人資産運用サービスを2028年度中に実現する方向で調整していることが明らかになりました。資産運用のデジタル化が一気に加速する可能性があります。
国内の銀行28社が連合を組み、AIチャットボットを活用した個人向け資産運用サービスを2028年度中にも実現する計画が報じられています。これまで対面や電話での相談が主流だった資産運用のアドバイスを、AIとのチャットのみで完結させる仕組みの構築を目指すもので、金融サービスのデジタル化において一つの転換点になりえる取り組みとして注目を集めています。
計画によると、利用者はスマートフォンやパソコン上のチャット画面を通じて、資産状況の確認、運用方針の相談、金融商品の比較・購入手続きまでを一貫して行えるようになる見通しです。従来のロボアドバイザーサービスと異なる点は、自然言語での対話形式を採用し、利用者が専門知識を持たなくても直感的に使いこなせる設計を想定している点です。
背景には、日本政府が推進する「資産所得倍増プラン」があります。2022年以降、NISAの抜本的拡充をはじめとした政策が相次いで打ち出され、個人投資家の裾野は着実に広がっています。一方で、資産運用に関する相談窓口の人手不足や、地方における金融サービスへのアクセス格差が課題として指摘されてきました。AIチャットによる相談対応はこうした課題を一度に解消できる手段として、業界内で関心が高まっていました。
28社という規模での連合形成も今回の注目点の一つです。単独の銀行がAIサービスを開発・運用するよりも、複数行で共同インフラを整備することで開発コストの分散やデータの蓄積効率の向上が期待されます。ただし、各行の既存システムとの連携や、利用者データのセキュリティ・プライバシー管理については、2028年度の実現に向けて解決すべき技術的・法的課題も残るとみられます。
金融とAIの融合、いわゆる「フィンテック」領域では、証券会社や保険会社においても同様のAI活用が進んでいます。海外ではすでに大手金融機関がAIチャットによる顧客対応を本格導入しており、国内金融機関にとってもこの流れへの対応は避けられない状況です。今回の銀行連合の動きは、日本の金融機関が横断的に連携してAI活用に踏み出す先行事例となる可能性があります。
一方で、AIによる投資アドバイスの精度や責任の所在については、業界内でも議論が続いています。AIが提供した情報に基づいて利用者が損失を被った場合の対応、あるいは高齢者を含む幅広い利用者層への配慮など、サービス設計上の倫理的課題も山積しています。金融庁はAIを活用した金融サービスに関するガイドライン整備を進めているとされており、規制側の動向も今後の計画に影響を与えるとみられます。
2028年度の実現に向けては、技術開発・法整備・利用者教育の三つが並行して進む必要があります。銀行連合がどのような形でAIチャットサービスを具体化し、どの程度まで「資産運用の完全自動化」に近づけるのかは、今後の日本における個人金融サービスの姿を大きく左右する可能性があります。今後の具体的なサービス設計の発表や、参加銀行の顔ぶれが明らかになるにつれて、業界内外からの関心はさらに高まっていくことが予想されます。
