選挙SNS対策法案が衆院通過 偽情報規制と電子メール投票依頼を解禁
インターネット上の偽情報への対応や電子メールによる投票依頼を盛り込んだ公職選挙法改正案が、2026年6月27日に衆議院本会議で可決・通過した。
インターネット選挙運動に関する新たなルールを定めた公職選挙法の一部改正案が、2026年6月27日、衆議院本会議で可決・通過しました。この法案は、SNS上での偽情報(ディスインフォメーション)への対応措置を明文化するとともに、これまで認められていなかった電子メールによる投票依頼を解禁することを主な柱としています。今後は参議院での審議に移る見通しです。
現行の公職選挙法では、選挙運動における電子メールの利用は政党および候補者本人に限定されており、支持者が有権者に対してメールで投票を呼びかける行為は原則として禁止されていました。改正案ではこの制限を緩和し、一定の条件のもとで一般の支持者も電子メールを通じた投票依頼ができるようになります。スマートフォンの普及率が国内で9割を超えるとされる中(推計)、選挙運動のデジタル化を加速させる措置として注目を集めています。
SNS上の偽情報対策については、選挙期間中に候補者や政党に関する虚偽の情報を意図的に拡散した場合の措置を強化する内容が盛り込まれています。具体的には、プラットフォーム事業者に対して選挙管理委員会や候補者からの申告を受け付ける窓口の設置を義務付け、明らかな虚偽情報については迅速な対応を求める仕組みが設けられます。近年の国政選挙でSNS上の偽情報や誹謗中傷が問題視されてきたことを受けた対応策とみられます。
この法案をめぐっては、審議過程で与野党間に一定の意見の相違がありました。特に偽情報の認定基準や、プラットフォーム事業者への規制の範囲については、「表現の自由の観点から慎重な線引きが必要だ」とする意見が複数の会派から出されたとされています。修正協議を経て一部条項に附則が追加されたうえで採決に至ったものの、全会一致での可決には至らず、反対票も記録されました。
背景には、2025年以降の国政選挙においてSNSを活用した選挙戦略が急速に拡大した事情があります。動画プラットフォームやショートムービーサービスを通じた政治広告・選挙運動が活発化する一方、候補者になりすました偽アカウントや、対立候補に関する根拠のない情報が拡散する事例が相次いで報告されていました。選挙の公正性を守るための制度整備が急務とされていた経緯があります。
一方、電子メール解禁に関しては、高齢者や情報リテラシーの低い層が迷惑メールと混同するリスクや、大量送信による有権者への圧迫感を懸念する声も専門家の間で上がっています。送信者の明示義務や受信拒否(オプトアウト)の手続きを法律上明確にすることで一定の歯止めをかける仕組みが設けられる予定ですが、実効性については引き続き議論が続くとみられます。
法案は今後、参議院での審議を経て成立するかどうかが焦点となります。今国会の会期末が迫る中、与党側は今国会中の成立を目指す方針とされており、参院での審議スケジュールが注目されます。仮に今国会での成立となった場合、次回の国政選挙から新たなルールが適用される可能性があり、各政党・政治団体はSNS戦略や選挙運動の体制見直しを迫られることになりそうです。デジタル時代の選挙のあり方を問うこの改正法の行方は、引き続き政界・有識者の間で注目を集めています。
