議員立法「国債NISA法案」を国会に提出 個人の国債投資に非課税枠
2026年7月12日、議員立法として「国債NISA法案」が国会に提出された。個人投資家が国債を購入した際の利子所得を非課税とする制度の創設を目指す法案で、財政健全化と家計の資産形成を同時に促進する狙いがある。
2026年7月12日、超党派の国会議員グループが議員立法として「国債NISA法案」を衆議院に提出しました。正式名称は「個人向け国債等に係る利子所得非課税特別措置法案」とみられており、個人が購入した国債の利子所得を一定枠内で非課税とすることを柱とする内容です。現行の少額投資非課税制度(NISA)が株式や投資信託を対象としているのに対し、新法案は国債を非課税投資の対象に加える点で、制度の大幅な拡充となります。
法案の骨格によると、個人投資家が年間最大100万円相当の国債を購入した場合、その利子所得に係る約20%の税金が非課税となる仕組みを想定しているとみられます。現在、日本の個人金融資産は2000兆円規模に達するとされており、その半分以上を現預金が占めています。法案の提出者側は、眠っている個人資産を国債購入へと誘導することで、国の安定的な資金調達と個人の資産運用の活性化を同時に実現できると主張しています。
背景には、日本の財政運営をめぐる構造的な課題があります。国債残高は2026年度末時点で1000兆円を超える水準に達する見通しとされており、安定した国債消化の確保は財政当局にとって長年の課題です。現状では国債の保有主体の多くは金融機関や日本銀行であり、個人保有比率は低水準にとどまっています。専門家の間では、個人投資家への国債普及が国内消化の底上げにつながるとの見方がある一方、財政規律の観点から慎重な評価も出ています。
今国会での審議スケジュールについては、与野党間で意見が分かれています。NHKの日曜討論では、自民党側が「重要法案の確実な成立を目指したい」と前向きな姿勢を示したとされる一方、立憲民主党側は「財源への影響や制度設計の詳細について丁寧に審議すべきだ」として、拙速な採決に慎重な立場を示しているとみられます。今国会の会期末が近づく中、委員会審議に充てられる時間は限られており、継続審議となる可能性も排除できません。
制度設計上の論点も多く残されています。非課税枠の上限額の設定、既存のNISA制度との統合・併用の可否、購入対象を個人向け国債に限定するか市場流通国債まで広げるかといった点について、今後の審議で詰められる見込みです。また、課税の特例措置を設けることで生じる税収減の規模については、財務省が試算を精査中とみられており、与党内の財政健全化派の議員からは留意が必要との声もあがっています。
市場関係者の間では、法案の成立が実現した場合、個人向け国債の発行条件や金利水準の設定に変化が生じる可能性があるとして注目されています。一方、日本銀行による金融政策の正常化過程にある現状では、国債金利の動向が制度の魅力度を左右するとの指摘もあり、制度の実効性は市場環境に大きく依存するとみられます。
今後の見通しとして、法案が今国会で成立するかは与野党の協議次第ですが、個人の資産形成支援と財政運営の安定化という二つの政策目標を結びつける試みとして、各党の賛否を含めた議論が活発化するとみられます。仮に今国会での成立が見送られた場合でも、秋以降の臨時国会や次期通常国会での再提出が視野に入るとされており、「国債NISA」構想は中期的な政策課題として引き続き注目を集めそうです。
