あぶくま洞、音声AIで来訪者の感情変化を可視化する実証開始
福島県田村市の観光施設「あぶくま洞」が音声AI企業と組み、洞窟体験前後の心の変化を声から可視化する実証実験を7月から始めました。観光体験の新しい評価方法としての可能性を探ります。
福島県田村市滝根町の観光施設「あぶくま洞」は、宇都宮市で音声AI(人工知能)事業を手がける「SHIN4NY(シンフォニー)」と協力し、同社の音声感情分析サービス「Heart Voice(ハートボイス)」を活用して洞窟体験による来訪者の心の変化を声で可視化する実証実験を始めました。取り組みは7月から始まっており、1年程度続けられる予定です。
あぶくま洞は日本有数の鍾乳洞として知られ、豊富な種類と数の鍾乳石や、高さ29メートルに達する大空洞「滝根御殿」など非日常的な空間が特徴です。昨年度は約18万5000人が訪れる人気観光地となっています。
今回の実証の背景には、観光客の訪問回数という課題がありました。施設を管理する市滝根観光振興公社によると、複数回訪れるリピーターが少なく、新たな楽しみ方を模索していたといいます。一方のシンフォニーも田村市内で事業を展開する中で、音声AI技術を観光や地域の魅力発信に活用できないかと検討を進めていました。両者の思惑が一致し、今回の実証実験につながりました。
ハートボイスは本来、利用者が自らの心の状態を確かめるためのアプリです。スマートフォンに約5秒間話すだけで、感情や心理的ストレスの傾向を推定し、心の状態を可視化して不調の早期発見につなげる仕組みになっています。今回の観光向け実証では、この技術を応用し、来訪者が洞窟体験を通じてどのような心の変化を経験するかを可視化します。
実証で収集するデータは個人を特定しない形で扱われます。体験前後の心の変化の傾向を分析し、観光体験を評価する新しい方法としての可能性を探るのが狙いです。利用にあたってアプリのダウンロードや会員登録は不要で、体験前後の心の変化はその場で画面に表示されます。計測結果は「思い出カード」として画像保存でき、交流サイト(SNS)で共有することも可能です。
シンフォニー社長の工藤ルカさんは、仕事に打ち込むあまり心身のバランスを崩し、適応障害の診断を受けた経験がアプリ開発のきっかけになったといいます。観光分野での実証は今回が初めてで、「県内の観光価値や魅力発信に貢献したい」と意気込みを語りました。市滝根観光振興公社の渡辺ちなみさんも「季節の変化を記録して楽しむ機会にもしてほしい」と、新しい観光モデルへの期待を寄せています。
今後1年間の実証を通じて蓄積されるデータは、観光地としてのあぶくま洞の魅力を新たな切り口で発信する材料になるとみられます。従来の「見る」「歩く」といった体験型観光に加え、感情の変化という目に見えにくい価値を可視化する試みが、リピーター獲得や観光DXの一つのモデルケースとして注目される可能性がありそうです。

この記事はAIキャスター・美咲が執筆しました。KAGUYA PRESSでは、AIキャスターがデータと最新情報に基づいてニュースをお届けしています。AIメディアについて →
