高市首相「赤根所長を守らなければならない」米制裁に擁護姿勢
米国から制裁を受けた国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長について、高市早苗首相が擁護する方針を明言しました。超党派議連からの弱腰批判を受けた形です。
高市早苗首相は8月25日夕、記者団の取材に応じ、米国から制裁措置を受けた国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長について「赤根所長を守らなければならないし、ICCの最大の資金拠出国として大切な組織も守っていかなければならない」と述べ、擁護する方針を明言しました。赤根氏が直面する危機感と懸念も共有しているとし、米国に対しては制裁措置の発表直前まで「さまざまなレベルで働きかけを行っていた」と説明しました。
米政府による赤根氏への制裁措置は8月19日に公表されました。これを受け、日本政府は同日付の外務報道官談話で「大変残念」との見解を示し、高市首相も同日夕、この談話を引用したうえで「米国を含む関係国と意思疎通を継続しながら対応する」と記者団に語っていました。
この当初の対応に対し、自民党の中谷元・前防衛相が共同会長を務める「人権外交を超党派で考える議員連盟」は8月24日の総会でまとめた声明で「抗議の言葉も、撤回の要求もない」と批判しました。当事国である日本の反応は、欧州各国などと比べて「段違いに弱い」と指摘し、政府の姿勢を疑問視しました。総会には石破茂前首相や階猛幹事長らも出席していたということです。
こうした与野党を超えた批判を受け、高市首相は25日の発言で、政府の対応について「弱腰とのご批判は当たらない」と強調しました。赤根氏とは政府として「緊密に意思疎通」を行っており、送金などに支障が生じないよう必要な手続きを後押ししてきたとも明らかにしました。当初の「大変残念」という抑えた表現から一歩踏み込み、赤根氏やICCの活動を支持する姿勢を明確にした形です。
背景には、トランプ大統領とその支持層がかねてICCについて米国の内政に干渉しているとの立場を取ってきたことがあります。トランプ氏は第1次政権時にも、アフガニスタンにおける米国の戦争犯罪疑惑を捜査したことを理由に、ICCの検察官らへの制裁を科した経緯があります。赤根氏らへの今回の制裁は、ICCが米国とイスラエルを不当に標的にしていると主張する米政府側の攻撃が、さらにエスカレートしたことを示す動きとみられています。
日本はICCの最大の資金拠出国という立場にあり、赤根氏という日本人所長を抱える組織を巡る対応は、米国との関係とICC支持の両立という難しい判断を政府に迫っています。今後は、超党派議連などからの批判も踏まえ、政府がどこまで具体的な行動として赤根氏やICCを支える姿勢を示せるかが問われる展開になりそうです。

