衆院選挙制度協議会、比例配分「サンラグ方式」検討で少数政党に配慮
衆院選挙制度協議会の鈴木馨祐座長(自民党)がまとめた試案の骨子で、比例代表の議席配分方式を現行の「ドント方式」から「サンラグ方式」へ変更する検討が盛り込まれました。野党側からは抜本改革を求める声も出ています。
衆院選挙制度協議会の鈴木馨祐座長(自民党)が選挙制度改革についてまとめた試案の骨子で、比例代表の議席配分方式について、現行の「ドント方式」から「サンラグ方式」への変更を検討することが盛り込まれました。ドント方式は各党の得票数を1、2、3…と整数で割って議席を配分するのに対し、サンラグ方式は1、3、5…と奇数で割るため、大政党の2議席目以降が出にくくなり、中小政党にも議席が回りやすくなる特徴があります。
この改革案は、協議会で新興政党「チームみらい」が提示していたものですが、自民党側があえて試案に記した背景には、同党を意識した野党対策としての側面もあるとみられます。少数政党に有利に働く制度変更を自民党が試案に盛り込んだ経緯には、野党の一部から警戒や反発の声も出ているもようです。
衆院選挙制度をめぐっては、1994年に小選挙区比例代表並立制が導入されて以降30年以上が経過しており、制度の歪みを指摘する声が根強くありました。小選挙区では各選挙区で当選者が1人に限られるため、落選候補に投じられた票は議席に結びつかない「死票」となります。1996年の並立制導入以降、小選挙区の死票率はおおむね46〜55%で推移しており、2024年は約2,828万票(52%)、2026年は約2,735万票(48%)に上ったと総務省の集計をもとにまとめられています。
得票率と議席占有率のずれを数値化する「ギャラガー指数」でも、日本は国際的に高い水準にあるとされます。比例代表を中心とする国では指数がおおむね5前後以下に収まる一方、G7平均は約10.7とされており、日本に近い並立制を採用する韓国と比較しても、日本の値の高さが際立つとの分析があります。
こうした状況を受け、衆院選挙制度に関する協議会は2024年12月に超党派議員連盟の要求により設置され、抜本改革を求める議論が続けられてきました。投票率の面でも、中選挙区制時代には60〜70%台が多かったのに対し、並立制導入後の1996年に初めて60%を割り込み、2012年以降は6回連続で50%台が続いています。2026年は56.3%となり、戦後最低だった2014年の52.7%からは持ち直したものの、依然として低水準にあります。
供託金の高さも参入障壁として指摘されてきました。日本は小選挙区300万円、比例代表600万円(重複立候補の場合は両方が必要)で、この水準は制度を廃止したカナダ・ドイツ・フランスや、低額に設定している英国と比べても突出しているとされます。日本に近い高さの国としては韓国が挙げられています。
サンラグ方式への変更が実現すれば、比例代表における議席配分は得票率により近づく可能性がありますが、大政党である自民党にとっては議席減につながりかねない側面もあり、党内外での調整が今後の焦点となりそうです。野党側からは、比例配分方式の見直しにとどまらず、死票の解消や供託金の引き下げを含めた抜本的な制度改革を求める声が上がっており、協議会での議論の行方が注目されます。

