政府、AI活用サイバー防御「ヤタ・シールド」発足
日本政府が重要15分野のサイバー防御強化を目的とした「プロジェクト・ヤタ・シールド」を正式に発足させました。AI技術を活用した新たな防御体制の構築を目指します。
日本政府は24日、重要インフラ15分野のサイバーセキュリティ強化を目的とした「プロジェクト・ヤタ・シールド」を正式に発足させたと発表しました。同プロジェクトは人工知能(AI)技術を活用したサイバー攻撃の検知・防御システムの構築を核とし、国家レベルでのサイバー防御能力の向上を図るものです。
対象となる重要15分野には、電力、ガス、上下水道、鉄道、航空、物流、通信、金融、医療、政府機関などが含まれます。これらの分野では近年、ランサムウェア攻撃や標的型攻撃が相次いでおり、2024年度の重要インフラへのサイバー攻撃件数は前年度比約40%増加したとの報告もあります。
プロジェクトの名称「ヤタ」は、日本神話に登場する三種の神器の一つ「八咫鏡(やたのかがみ)」に由来するとみられ、全方位的な監視・防御体制を構築する意図が込められています。AIによる24時間365日の自動監視システムにより、従来の人的対応では発見が困難な微細な異常や新種の攻撃パターンを早期に検出することが可能になると期待されています。
システムの中核となるAI技術には、機械学習と深層学習を組み合わせた高度な解析機能が搭載される予定です。過去のサイバー攻撃データから攻撃パターンを学習し、未知の脅威に対しても予測的な防御を展開できる仕組みを目指しています。また、各分野間での脅威情報の自動共有機能も実装され、一つの分野で検知された攻撃情報が即座に他分野にも展開される体制が構築されます。
政府関係者によると、プロジェクトの初期段階では約200億円の予算が投じられる見込みで、2027年度末までに基本システムの運用開始を目標としています。国内外のサイバーセキュリティ企業との連携も進められ、民間の技術力も活用した官民一体での取り組みとなる方針です。
国際的にも、米国のCISA(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)やEUのサイバーセキュリティ機関との情報共有体制を強化し、グローバルな脅威に対する共同対処能力の向上も図られます。特に、国家レベルでのサイバー攻撃への対処において、同盟国との連携は不可欠とされています。
今後は段階的にシステムの導入が進められ、まず電力・通信分野から運用を開始し、順次他の重要インフラ分野に展開していく計画です。AI技術の進歩とともにシステムの精度向上も継続的に行われ、日本のサイバー防御能力の抜本的な強化が期待されています。
