AI管理「できている」6割も実態は乖離、コスト不明7割・ログ未把握9割の衝撃
企業のAI利用・管理実態を調査した結果が公開され、6割が「管理できている」と回答した一方、コストを把握できていない企業が約7割、利用ログを把握していない企業が約9割に上ることが明らかになりました。
企業におけるAIツールの利用・管理実態を調査した結果が2026年7月10日に公開され、自社のAI活用を「管理できている」と答えた担当者が約6割に達した一方で、実際のコストを把握できていない企業が約7割、利用ログを把握していない企業が約9割に上るという大きな乖離が浮き彫りになりました。AI導入が急速に進む企業現場において、「管理している感覚」と「実態」との間に深刻なギャップが存在することを示す調査結果として、業界内で注目を集めています。
今回公表された調査では、ChatGPTやCopilotをはじめとする生成AIツールを業務利用している企業の担当者を対象に、管理体制・コスト把握・ログ管理の実態が問われました。「管理できている」と感じる担当者が6割を超えた一方、コストについて「正確に把握できていない」と答えた企業は約70%、従業員の利用ログを「取得・管理していない」と答えた企業は約90%に達しました。担当者の主観的な認識と、客観的な管理指標の間に大きな差があることが数字として示された形です。
この調査結果が示す背景には、企業のAI導入が「現場主導」で進む構造的な課題があるとみられます。多くの企業では、情報システム部門やIT統括部門が関与する前に、各部署が個別にSaaS型のAIツールを契約・利用するケースが増えており、いわゆる「シャドーIT」ならぬ「シャドーAI」と呼ばれる現象が拡大しているとされます。このような状況では、全社のAI利用コストを一元的に把握することが技術的にも組織的にも難しく、管理が形式化しやすい側面があります。
セキュリティリスクの観点からも、ログ未把握の問題は深刻です。従業員がAIツールにどのような情報を入力しているかが記録・監視されていない場合、顧客情報や機密情報の外部AIサービスへの送信リスクを企業が把握できないまま放置していることになります。個人情報保護法や各種コンプライアンス規制が厳格化される中、ログ管理の不備は将来的な法的リスクにもつながりかねないと指摘する業界関係者も少なくありません。
コスト面では、AIツールへの支出が部門ごとに分散していることで、経営層が全体像を把握できないケースが多いとみられます。月額数千円から数万円程度のサブスクリプション型サービスが積み重なることで、企業全体のAI関連支出が予算計画を大きく超過している可能性も否定できません。こうした「見えないコスト」が積み上がる状況は、特に中堅・中小企業において顕著とされています。
一方、大手企業を中心に、AI利用の一元管理を目的としたガバナンスツールやポリシー整備に取り組む動きも広がっています。AIの利用申請・承認フローを設ける企業や、利用可能なAIツールをホワイトリスト形式で限定する企業も増えており、管理体制の高度化が少しずつ進んでいる実態もあります。ただし、こうした取り組みはまだ一部にとどまっており、多くの企業では対応が追いついていないのが現状です。
AI活用の波が企業現場に浸透する中、今後はツールの導入スピードに管理体制が追いつけるかどうかが、企業のAI戦略における重要な課題となりそうです。規制当局による企業のAIガバナンスへの関心も高まっており、コスト可視化・ログ管理・リスク評価を一体的に行う「AIマネジメント基盤」の整備が、中長期的に企業競争力を左右するポイントになるとみられています。今回の調査結果は、多くの企業にとって自社の管理実態を見直す契機となる可能性があります。
