地域包括医療病棟、普及なお緩やか 2027年度から競合激化の見通し
高齢者救急の受け皿として期待される地域包括医療病棟の届け出施設数は伸び悩んでいますが、2026年度診療報酬改定で収益性が改善し、2027年度からの新たな地域医療構想を機に急性期病床からの転換が進む可能性があります。
高齢者の救急搬送患者に包括的に対応する「地域包括医療病棟」の普及ペースが依然として緩やかなことが、日経ヘルスケアon the webの報道で明らかになりました。2026年度診療報酬改定では、同病棟の施設基準を一部緩和し報酬体系を手厚くする内容が盛り込まれましたが、届け出施設数は改定前後で大きく変わっていない状況です。
地域包括医療病棟は2024年度の診療報酬改定で新設された入院料で、増加する高齢者救急やリハビリを要する軽症・中等症の急性期患者の受け皿として期待されてきました。地域包括ケア推進病棟協会が2025年7月29日に開いた記者会見によると、同年6月14日時点の届け出は175施設・約9200床にとどまっていました。同協会は、誤嚥性肺炎や尿路感染など内科系疾患では看護必要度が上がりにくいことや、予定手術の多い病院ではADL低下5%未満の基準をクリアしにくいことなど、施設基準の厳しさが普及の壁になっていると説明していました。
その後、日経ヘルスケアon the webの報道によれば、2026年度改定前の同年5月時点で地域包括医療病棟を運営する施設数は250施設、改定後の7月時点でも266施設にとどまり、新規参入は21施設にとどまっています。都道府県によっては届け出施設がなかったり1施設のみだったりするケースも見られ、人口の少ない地域では専門職の確保が難しい点が一因とみられています。
一方で、2026年度改定では看護必要度の該当患者割合基準や平均在院日数の基準を緩和した上で、手術を要さない緊急入院患者の受け入れに高い報酬を設定するなど、包括期機能に注力する医療機関への評価を強化する内容が盛り込まれました。同病棟の入院収益は入院料だけで1割ほど増加するとみられ、手術をメインとする病棟では患者1人当たりの1日入院単価が最大9万円近くになる可能性があるとされ、急性期一般入院料1のDPC対象病棟からの転換で増収となるケースも少なくないと見込まれています。
地域包括医療病棟を運営する病院の規模は多様で、1施設当たりの平均病床数は185.3床ですが、100床未満の施設も56施設(21.1%)存在します。救急患者の受け入れ実績に応じて加点される仕組みがあるため、小規模病院でも救急搬送の受け入れを強化すれば同入院料の算定は十分可能とみられています。
今後を左右しそうなのが、2027年度から始まる新たな地域医療構想です。急性期拠点機能を担う病院を人口20万~30万人に1施設程度を目安に集約する方針が示されており、この過程で急性期病床から地域包括医療病棟への転換が活発化する可能性があります。地域包括ケア推進病棟協会は、急性期一般2~6病棟と地域包括医療病棟のケアミクスを柔軟に認めるべきだとの考えも示しており、病院ごとに病棟構成の見直しが進む過渡期にあるとの見方が示されています。
地域包括医療病棟をめぐっては、地域包括ケア病棟との「中間的な評価」の創設を求める声も業界団体から上がっています。普及が限定的な現状から一転し、将来的には急性期病床の受け皿としての競合が激しくなるとの見方もあり、各医療機関は病棟構成のあり方を早めに検討する必要がありそうです。
