議員立法「国債NISA法案」が国会に提出 個人の国債保有拡大へ
個人投資家が国債をNISA口座で非課税保有できる仕組みを整備する「国債NISA法案」が、2026年7月10日に議員立法として国会に提出された。財政運営と資産形成の両立を目指す新たな政策手段として注目を集めている。
2026年7月10日、国会議員グループが「国債NISA法案」を議員立法として提出した。この法案は、現行のNISA(少額投資非課税制度)の対象資産に日本国債を明示的に加え、個人が国債の利子収益を非課税で受け取れる仕組みを整備することを骨子としている。日本における個人の国債直接保有比率は近年低迷しており、その打開策として注目を集めている。
現行のNISA制度は、2024年の大幅拡充によって年間投資枠が成長投資枠240万円・つみたて投資枠120万円の合計360万円に拡大され、生涯非課税保有限度額は1800万円に設定されている。しかし、対象となる金融商品は主に株式・投資信託が中心であり、個人向け国債(変動10年・固定5年・固定3年)についてはこれまで制度上の優遇が限定的とされてきた。
法案を提出した議員グループは、提案の背景として日本の財政状況と家計の安定的な資産形成の両立を挙げているとみられる。国の借入需要が高水準で続く中、個人の安定的な国債保有者を増やすことは、国債市場の需給安定にも寄与するとの見方がある。一方で、専門家の間では、国債をNISAに組み込むことで本来の「成長資金の好循環」という制度趣旨との整合性についての議論も想定されている。
日本銀行の金融政策正常化が進む中、国債利回りは過去数年と比較して上昇傾向にあるとみられており、個人投資家にとって国債の利回り水準は一定の魅力を取り戻しつつある状況にある。こうした金利環境の変化が、今回の法案提出の機運を後押しした側面もあると業界関係者の間では分析されている。
法案の具体的な内容としては、NISA口座内での国債購入・保有を正式に認め、受け取る利子に対する20.315%の源泉徴収税を非課税扱いとする仕組みが盛り込まれているとみられる。また、現行の生涯非課税保有限度額1800万円との関係をどう整理するかについても、今後の国会審議の焦点になると予想される。
野党・与党双方からの反応はまだ出そろっていないが、財政規律を重視する立場からは一定の支持が集まる可能性がある一方、NISA本来の「投資による経済成長の底上げ」という政策目標との齟齬を指摘する声も出てくるとみられる。金融庁や財務省の見解も今後の審議に大きく影響するとみられ、法案の行方は予断を許さない状況だ。
今後は国会の委員会審議を経て、与野党間の協議が本格化する見通しだ。2026年秋の臨時国会が一つの節目になるとの見方もある。個人の国債保有を税制優遇で後押しする今回の試みが成立するかどうかは、財政・金融・資産形成という複数の政策課題が交差する論点であり、幅広い観点からの議論が求められる局面を迎えている。
