アップル、元社員とOpenAIを提訴――営業秘密の不正流用を主張
米アップルが元従業員およびOpenAIを相手取り訴訟を起こした。企業秘密が不正に持ち出され、競合他社に流出したと主張している。
米アップル(Apple Inc.)は、元従業員およびAI開発企業・OpenAIを相手取り、営業秘密(トレードシークレット)の不正流用を主張する訴訟を提起しました。訴状は米国内の連邦裁判所に提出されたとみられており、アップルがAI分野の機密情報を巡って法的手段に踏み切った異例のケースとして、テクノロジー業界に広く注目されています。
訴状の詳細は現時点で一部が公開されているにとどまりますが、報道によればアップルは、退職した元社員がAIに関連する機密資料や独自の技術情報を社外に持ち出したと主張しています。その情報がOpenAIに渡った可能性があるとアップル側は指摘しており、企業秘密の保護を定める米国の「統一営業秘密法(UTSA)」および連邦法である「営業秘密防衛法(DTSA)」に基づく損害賠償などを求めているとみられます。
背景にあるのは、アップルとOpenAIの関係の複雑さです。両社は2024年に提携を発表し、アップルのOS「iOS 18」以降にOpenAIの技術を組み込む形で協力関係を築いてきました。一方で、AIの覇権をめぐる競争は激化しており、自社開発のAI基盤技術「Apple Intelligence」の強化も急務となっています。そうした状況の中で、機密情報の流出が疑われる事案が発覚したとすれば、両社の協力関係に影を落とす可能性があります。
テクノロジー業界では近年、AI開発をめぐる人材の争奪戦が激しさを増しており、エンジニアや研究者が大手からスタートアップ、あるいは競合他社へ転職するケースが増加しています。こうした移動に伴う企業秘密の流出リスクは業界全体の課題となっており、グーグル対ウェイモ(Waymo)の自動運転技術をめぐる訴訟など、過去にも同種の法的紛争が繰り返されてきました。今回のアップルの提訴もその延長線上にある事案と業界関係者はみています。
OpenAI側の公式な反応は、本記事執筆時点では明らかになっていません。同社はこれまでにも複数の法的リスクに直面しており、ニューヨーク・タイムズなど複数のメディアから著作権侵害を主張する訴訟を受けています。今回の件が加わることで、OpenAIへの法的・社会的な圧力がさらに高まる可能性があります。
今回の訴訟は、AI分野における知的財産保護の重要性を改めて浮き彫りにしています。今後、訴訟の審理が進む中で、具体的にどのような情報が流出したとされているのか、またOpenAIとの関係がどのように法的に問われるのかが焦点となります。アップルが提訴に踏み切ったことは、自社のAI戦略を守るための強い意志の表れとも受け取られており、AI技術の主導権をめぐる企業間の攻防は、今後も法廷を含む複数の場で続くとみられます。
