SNS選挙偽情報対策法が成立、来春の統一選から適用へ
選挙期間中のSNS上における偽情報への対策を強化する法律が、2026年7月14日の参院本会議で可決・成立した。次の統一地方選挙からの適用が見込まれている。
選挙期間中にSNS上で拡散する偽情報への対策を強化する、いわゆる「SNS選挙法」が2026年7月14日、参院本会議で可決・成立しました。近年の国政選挙や地方選挙において、候補者に関する虚偽情報や投票に関するデマがSNSを通じて急速に拡散する事態が相次いでおり、選挙の公正性を守るための法整備が急務とされていました。
今回成立した法律の主な柱は3点です。第1に、選挙期間中に候補者や政党に関する明らかな虚偽情報をSNS上に投稿・拡散した場合の罰則規定の整備。第2に、大手プラットフォーム事業者に対して偽情報の迅速な削除・ラベリング対応を義務付けること。第3に、総務省に「選挙情報監視窓口」を新設し、有権者からの通報を受け付ける体制を構築することです。プラットフォーム事業者への義務付けは、月間利用者数が一定規模(報道ベースでは国内1000万人以上とみられる)を超えるサービスが対象となる見通しです。
法整備の背景には、直近の国政選挙で実際に問題となった事例の積み重ねがあります。候補者の発言を切り取った動画の無断加工・拡散、存在しない政策公約のなりすまし投稿、さらには投票日や投票所の情報を意図的に誤って流すケースが各選挙管理委員会への報告ベースで増加傾向にあると指摘されてきました。こうした状況を受け、与野党間での協議が重ねられ、今国会での成立が実現しました。
適用時期については、2027年春に予定される統一地方選挙からとなる見込みです。施行までの期間に、総務省がガイドラインの策定やプラットフォーム事業者との連携枠組みの整備を進めるとされています。一方で、表現の自由との兼ね合いについては国会審議の中でも論点となっており、法律の運用にあたっては正当な政治批判や風刺との線引きを慎重に行う必要があるとの意見も専門家の間から上がっています。
海外に目を向けると、欧州連合(EU)では「デジタルサービス法(DSA)」によるプラットフォーム規制がすでに施行されており、選挙期間中の偽情報対策を義務化しています。韓国でも選挙期間中のAI生成コンテンツへの規制強化が進むなど、各国で立法対応が相次いでいます。日本の今回の法整備は、こうした国際的な潮流に沿った動きとも言えます。
課題として指摘されるのは、実効性の担保です。偽情報の投稿者が匿名アカウントや海外サーバーを利用している場合、摘発・削除が技術的に困難なケースも少なくありません。また、プラットフォーム事業者が削除判断を行う際の基準の透明性をどう確保するかも、運用上の重要な論点となります。
今後は、総務省が関係省庁やプラットフォーム事業者、有識者を交えた協議体を設置し、具体的な運用指針の策定を進めると見られています。2027年の統一地方選挙に向けた準備期間は実質半年余りとなるため、実務レベルでの対応を急ぐ必要があります。デジタル空間における選挙の公正性をいかに守るか、法律の運用と実効性が問われることになりそうです。
