生活習慣病患者の72%、通院費以外の健康管理サービスに「0円」 450名調査で判明
生活習慣病を抱える患者450名を対象にした調査で、72%が通院・服薬以外の健康管理サービスに一切費用をかけていないことが明らかになりました。医療費の自己負担が重くのしかかる中、セルフケアへの投資意識の低さが浮き彫りになっています。
生活習慣病を抱える患者450名を対象に実施された調査で、72%にあたる約324名が、通院費や薬代以外の健康管理サービスに「0円」しか支出していないことが明らかになりました。食事管理アプリや健康相談サービス、フィットネスジムなど、生活習慣の改善を支援するサービスが普及しつつある一方で、実際に費用を払って活用している患者は全体の3割以下にとどまっている実態が浮き彫りになりました。
生活習慣病には、高血圧・糖尿病・脂質異常症・肥満症などが含まれ、いずれも日常の食習慣や運動習慣が病状の進行に大きく関わるとされています。医療機関での治療はもちろん重要ですが、日々のセルフケアが症状の悪化予防や医療費の長期的な抑制につながると、医療・健康分野の専門家の間では広く認識されています。にもかかわらず、今回の調査では患者の多くが「通院」と「服薬」のみで健康管理を完結させている現状が確認されました。
サービスに費用をかけない理由として、調査では「必要性を感じない」「何を使えばいいかわからない」「費用対効果が見えない」といった回答が多く集まったとみられます。健康管理サービス市場はここ数年で急成長しており、スマートフォンアプリや웨アラブルデバイスを活用した血糖値・血圧の記録ツール、遠隔での栄養指導サービスなど選択肢は増加しています。しかし、情報過多の中でどのサービスが自身の症状に適しているかを判断するのが難しく、結果的に利用に至らないケースが多いと考えられます。
一方で、費用をかけている28%の患者が活用しているサービスとしては、フィットネスジムやプール(有料)、食事管理・カロリー計算の有料アプリ、民間の健康相談・栄養指導サービスなどが挙げられます。これらの利用者層では、症状の数値的な改善や生活の質(QOL)の向上を実感しているとの傾向も報告されており、セルフケアへの投資が一定の効果をもたらす可能性を示唆しています。
日本における生活習慣病患者数は国民の約3人に1人に相当するとも推計されており、医療費全体に占める生活習慣病関連の割合も高水準で推移しています。国や自治体レベルでも特定健診・特定保健指導などの予防施策が展開されていますが、受診率は依然として目標値を下回っている地域も多く、予防・管理の「自発的な実践」を根付かせることが課題となっています。
健康保険組合や企業の健康経営の観点からも、生活習慣病の重症化予防は大きなテーマです。一部の健保では、加入者向けに健康管理アプリの費用補助やポイント付与制度を設けるなど、セルフケアへの参加を促す取り組みを導入しています。こうした仕組みの普及が、通院費以外のサービス活用率を押し上げる一助になりうるとみられています。
今後は、医師や薬剤師など医療従事者が診察・調剤の場でセルフケアサービスを積極的に案内・推薦する「医療連携型」のアプローチが普及することで、患者のサービス活用率が改善していく可能性があります。また、マイナンバーカードと医療情報の連携が進む中で、個人の健康データをもとにしたパーソナライズされた健康管理提案が身近になれば、生活習慣病患者が自らのケアにより主体的に関わる環境が整っていくことも期待されます。今回の調査結果は、患者と医療・サービス提供者の双方にとって、現状の課題を改めて見つめ直す契機となりそうです。
