赤・グレー・サステナブル─2026秋冬、暮らしと装いの潮流
2026年秋冬はカラーやシルエットの変化だけでなく、サステナブル素材や住空間デザインまで、ファッションとライフスタイルが横断的に融合する季節。日本の暮らしにどう浸透するかを読み解く。
2026秋冬、暮らしと装いが交差する季節
2026年9月17日現在、各ファッション誌が2026-27年秋冬シーズンのトレンドを相次いで発表しています。ELLE(2026年)は「本気買い服」として、グランマニット、テーラードジャケット、細身のナローパンツなどを挙げ、25ans(2026年)も15の流行キーワードの中で「モダンテーラリング」「リワークドシャツ」を主要トピックとして紹介しました。今シーズンの特徴は、装いの変化が単独のトレンドとして語られるのではなく、暮らし方全体の変化と結び付けて論じられている点です。
- テーラードジャケット・ナローパンツなど「本気買い服」がキーワード(ELLE, 2026年)
- モダンテーラリング・リワークドシャツが主要トレンド(25ans, 2026年)
- 「こなれ感」がシーズンの通底テーマ(locondo, reedit, 2026年)
- サステイナブルな生活へのシフトが暮らしのトレンドに(t-eikoh, 2026年)
シルエットと素材──「こなれ感」がキーワード
locondo(2026年)によると、2026年秋のファッショントレンドは「シンプルだけどひとクセあるこなれ感」が軸となり、クラシックなテーラードスタイルやチェック柄の復活、フリンジ使いなどが注目されています。reedit(2026年)も同様に、クラシカルとリラクシーを掛け合わせた「こなれ感」を今季のポイントとして挙げ、ゆるやかなシルエットと絶妙なメリハリで着心地の良さを両立させる装いが支持されているとしています。硬さと柔らかさ、伝統と気楽さが同居する組み合わせが、今シーズンのシルエットを特徴づけていると言えます。
カラーとスタイルをめぐる議論に見る多様性
ELLE(2026年)は「何色が流行るのか、間違いないテイストは何か」という視点から、ランウェイのムードとリアルに取り入れやすいスタイルを論じる企画を掲載し、モードの動向を踏まえた解説を展開しました。一方でsekimiki-online(2026年)は、大人女性向けの秋ファッションのキーワードとして「華やかさ」「レイヤード」「異素材感」を挙げ、ラメや光沢感を取り入れることで秋コーデを地味見えさせない工夫や、ベストやキャミ、シャツを組み合わせたレイヤードスタイルを紹介しています。こうした複数のメディアの提案を並べると、単色や単一シルエットに収まらない、素材やレイヤーの重ね方による表現の多様化が今季の実像として浮かび上がります。
サステナブル素材の実践例──旭化成とインドの協業
装いの変化と並行して進むのが、素材面でのサステナブルシフトです。ジェトロ(2025年)によると、旭化成は2025年3月21日、インドの首都ニューデリーで現地アパレルブランド「ボディス」と共同でファッションショーを開催し、約320人のファッション業界関係者やメディア関係者が来場しました。同イベントでは、ボディスが旭化成のキュプラ繊維「ベンベルグ」を初めて使用してデザインした2025年春夏コレクションが披露されました。ベンベルグは世界で旭化成のみが生産する吸放湿性能に優れた繊維で、宮崎県延岡市の工場で一貫生産されています。原料には綿糸として通常使われない綿の種の周りの短繊維「コットンリンター」を用いており、環境負荷を抑えたサステナブルな繊維として位置づけられています。この協業は過去の出来事ですが、素材そのものの環境性能をブランド価値に結び付ける手法として、2026年秋冬にも通じる先例と見ることができます。
住空間とライフスタイルへの波及
株式会社ティーエイコー(2026年)は、2026年秋冬に注目すべきライフスタイルのトレンドとして「サステイナブルな生活へのシフト」「テクノロジーと日常生活の融合」「心地よさと安心感を求めるインテリアデザイン」の3点を挙げています。ファッションの分野で素材の環境性能が重視される流れは、住空間の選択においても同様に、心地よさと持続可能性を両立させる方向へ向かっていると言えます。装いと住まいが別々のトレンドとして語られるのではなく、暮らし全体の価値観として横断的に論じられている点が、今シーズンの特徴です。
まとめ
2026年秋冬は、テーラードやレイヤードといったシルエットの提案にとどまらず、素材の環境性能や住空間の心地よさまでを含めた「暮らし全体の装い」が語られるシーズンだと感じます。私は、旭化成とボディスの協業のような素材面での取り組みが、ファッション誌が掲げる「こなれ感」や「異素材感」といった感覚的なトレンド言葉と地続きにある点に注目しています。日本の暮らしにこの潮流がどう浸透するかは、単に流行色や形を追うのではなく、素材選びやインテリアの選択という日常的な判断の積み重ねの中で試されていくのではないでしょうか。
参考文献
- 1.ELLE「【2026秋冬トレンド】エディターが語る『本気買い服』8選」(2026年)
- 2.25ans「【2026-27秋冬トレンド】15の流行キーワードで解説!」(2026年)
- 3.ELLE「【2026秋冬トレンド】何色が流行る?間違いないテイストは?」(2026年)
- 4.sekimiki-online「2026秋ファッション最新トレンド|大人女性におすすめの注目アイテム」(2026年)
- 5.locondo「2026年最新!秋のトレンドファッション」(2026年)
- 6.reedit「【2025-2026年秋冬トレンドファッション】今年の流行」(2026年)
- 7.株式会社ティーエイコー「2026年の秋冬に注目すべきライフスタイルのトレンドとは?」(2026年)
- 8.ジェトロ「旭化成、インドでファッションショー開催(インド、日本)」(2025年)

