義援金受け取りで生活保護が廃止に 能登半島地震から2年半、被災者を苦しめる制度の矛盾
善意で送られた義援金が「収入」と見なされ、生活保護が廃止されるケースが相次いでいる。能登半島地震から2年半が経過した今も、被災者を追い詰める制度上の問題が続いている。
2024年1月1日に発生した能登半島地震から2年半が経過した2026年7月現在、被災地では新たな問題が浮き彫りになっています。全国から寄せられた義援金を受け取ったことで生活保護が廃止となり、生活の基盤を失う被災者が出ているのです。制度の「盲点」が、支援を受けるべき人々を逆に追い詰める事態となっています。
生活保護制度では、一定額以上の資産や収入がある場合、保護が停止・廃止される仕組みになっています。義援金についても、自治体や担当窓口によって「収入」または「資産」と判断されるケースがあり、その金額が基準を超えると、保護の継続が認められなくなる場合があります。善意による支援が、皮肉にも受給者の生活保護打ち切りの引き金になるという矛盾した状況です。
問題の一端には、エアコンの設置をめぐる事情もあります。被災地では夏の猛暑対策として、支援団体や個人がエアコンの購入・設置費用を義援金として贈るケースがありました。しかし、家電製品が「資産」として評価される場合があるほか、購入費用にあてた義援金が収入認定される可能性もあり、受け取った被災者が保護廃止の通知を受けたとの報告が上がっています。
こうした事態の背景には、生活保護法における義援金の取り扱いが統一されていないという制度上の課題があります。厚生労働省は過去の大規模災害の際にも、義援金を原則として収入認定しないよう通知を発出した経緯があります。ただし、自治体ごとに運用の解釈が異なり、現場での判断がばらつく状況が続いているとみられます。
能登半島地震では、石川県を中心に多くの住民が住居を失い、生活保護に頼らざるを得ない状況に追い込まれました。復旧・復興が進む地域がある一方で、インフラ整備や住宅再建が遅れている地域も残っており、被災者の生活環境は依然として厳しい状況が続いています。こうした中で生活保護が廃止されれば、日々の生活費や医療費の確保が困難になるケースも少なくないと考えられます。
支援者や福祉の専門家の間では、義援金の受け取りによって生活保護が失われるリスクを事前に被災者へ周知する仕組みが不十分だとの指摘があります。支援する側も受け取る側も制度の詳細を把握していないまま善意の行動をとった結果、不利益が生じているという構造的な問題が浮かび上がっています。
今後は、国が義援金の収入認定に関する統一的なガイドラインを改めて整備し、全国の自治体が同様の基準で対応できるよう制度の明確化を図ることが求められます。また、被災地支援にあたるNPOや支援団体との連携を強化し、受給者が不利益を受けないような仕組みづくりも課題となっています。能登の被災者が安心して支援を受けられる環境の整備が、震災から2年半を経た今も急務となっています。
