高市首相「デフレ脱却とは言えない」 インフレ対策との板挟みで政策運営に苦悩
高市首相はデフレ脱却について「言える状況にない」との認識を示した。物価高が続く中、インフレ対策と景気刺激策の両立という難題が政権を直撃している。
高市首相は2026年7月28日、デフレ脱却の現状認識を問われた場面で「デフレ脱却と言える状況にない」との見解を示しました(毎日新聞報道)。物価上昇が続く一方で、個人消費や実質賃金の回復が追いついていないとされる現在の経済状況を踏まえた発言とみられ、政府のインフレ対策を巡る議論が改めて注目を集めています。
「デフレ脱却」は長年にわたる日本経済の悲願でした。2010年代以降のアベノミクスから続く大規模な金融緩和政策はその達成を目指してきましたが、足元では消費者物価指数が高止まりするなか、家計の購買力低下という形で国民生活を圧迫しています。専門家の間では、物価が上がっていても需要主導ではなくコスト・プッシュ型の場合、「デフレ脱却」とは言えないとする見方も根強く、今回の首相発言はその文脈に沿ったものとも解釈できます。
為替市場では、2026年7月28日時点でドル円相場が1ドル=163.75円で推移しています。円安水準が続くことで輸入物価の押し上げ圧力が続いており、エネルギーや食料品を中心としたコスト上昇が企業収益と家計の双方に影響を与えている状況です。政府にとっては、円安によるインフレを抑制しながら景気を支えるという、難しいかじ取りが求められています。
市場では、今週のFOMC(米連邦公開市場委員会)および日銀の金融政策決定会合が重大な節目として意識されています。FX分析では1ドル161〜165円のレンジが当面の見通しとして示されており、FOMC・日銀会合・当局による為替介入の可能性が複雑に交差する週として、市場参加者の緊張感が高まっています。日銀が追加利上げに踏み切るかどうかは、円安・物価動向とも直結するため、政府の経済運営にも直接影響します。
株式市場では、7月28日の日経平均株価が前日比320.04円高の64,931.19円と堅調な推移を見せています。一方、TOPIXは前日比でほぼ横ばいの105.18ポイントにとどまり、指数間での温度差も見られます。また、最近の市場では日経平均が1日で2%超変動する場面もあり、個人投資家による短期売買が活発化しているとの指摘もあります。半導体関連を中心に韓国株市場の動向が日本株に波及するケースも増えており、グローバルな市場連動性が一段と高まっています。
政府・与党内では、物価高への対策として家計支援策の継続・拡充を求める声がある一方、財政規律の観点から給付金や補助金の長期化に慎重な意見も根強くあります。業界関係者の間では、賃上げの持続性や消費者マインドの回復なしには、真の意味でのデフレ脱却は遠いとの見方も出ています。
今後の焦点は、今週開催されるFOMCおよび日銀会合の結果次第で為替・金利環境がどう変化するかにあります。日銀が政策変更に踏み切れば円高圧力が生じ、物価上昇の一部は緩和されるとみられますが、景気や株価への影響も無視できません。高市政権がデフレ脱却とインフレ対策という相矛盾するようにも見える課題をどう整合させるか、秋の経済対策の取りまとめに向けて、政府の方針が一層明確になることが期待されます。
