日銀7月会合、熊本地震が新たな「見極め」要因に タカ派発信の抑制も
熊本地震の影響が日本銀行の金融政策運営に新たな不確実性をもたらしている。7月の金融政策決定会合でタカ派的なメッセージが抑制されるとの見方が広がっており、市場では日経平均が前日比930円超の大幅下落を記録するなど緊張感が高まっている。
熊本地震の発生が、日本銀行の金融政策に新たな「見極め」要因として加わった。7月の金融政策決定会合では、追加利上げを示唆するいわゆるタカ派的な発信が抑制される可能性があるとの見方が市場関係者の間で強まっている。自然災害が経済活動に与える下押し圧力を慎重に見定める姿勢が、日銀内でも意識されているとみられる。
29日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比930.73円安(1.49%安)の6万1,434.19円で引けた。地震による経済的影響への警戒感に加え、米国市場の動向や円相場の不安定さも重なり、投資家心理が慎重化した格好だ。円相場は1ドル=163.68円台で推移しており、依然として円安水準が続いている。
日銀をめぐっては、金融政策の正常化ペースについて議論が続いている。経済・金融の専門家の間では、利上げの「におわせ」だけでも市場に過度な変動を招くリスクがあると指摘する声がある。コラムニストの上野泰也氏もこうした観点から、日銀の情報発信のあり方に注意を促している。シグナルの出し方次第では、金融市場の急激な反応を引き起こしかねないというのが懸念の核心だ。
熊本地震は、九州地方の生産・物流・消費活動に直接的な打撃を与える可能性がある。過去の大規模災害時には、日銀が復旧・復興を支援する観点から金融緩和的なスタンスを維持した経緯もある。今回もこうした先例が意識される可能性があり、7月会合では少なくとも強い引き締めメッセージは発しにくい状況になっているとの見方が業界関係者の間では根強い。
一方、経済産業省では赤澤経済産業大臣がロングボトム駐日英国大使と会談を行った。具体的な議題の詳細は明らかにされていないが、エネルギー政策や通商関係をめぐる二国間協議の一環とみられる。日英間の経済連携強化は、国内外の不確実性が高まる局面においても重要な外交課題として継続している。
市場参加者が注目するのは、日銀が今後の利上げ経路をどのように描いているかだ。物価上昇が続く中で金融正常化を進めたい意向と、地震被害や外部環境の悪化に配慮する姿勢のバランスをどう取るか——7月会合の声明文や植田総裁の記者会見での発言ひとつひとつが、市場の方向性を左右する可能性がある。専門家の間では、次の利上げ判断は少なくとも秋以降にずれ込む可能性が高いとの見方も出ている。
今後の展望としては、熊本の被災状況と経済指標の回復ペースが日銀の政策判断に直接影響を与えることになりそうだ。円安が続く中でのコスト上昇圧力と、地震後の需要減退という相反する要因が綱引きを演じる構図が続くとみられる。株式市場も引き続き日銀の動向と地震の影響を注視しており、当面は不安定な展開が予想される。
