食料品消費税1%引き下げ、飲食店に「倒産リスク」の声 専門家が警鐘
高市総理が打ち出した食料品の消費税1%引き下げ方針をめぐり、飲食業界への深刻な影響を懸念する声が専門家から上がっている。減税の恩恵の陰に、納税額増加や食材高騰というダブルパンチが待ち受ける可能性がある。
高市総理が掲げる食料品の消費税を現行の10%から1%に引き下げる方針が、消費者には歓迎される一方で、飲食業界に予期せぬ打撃を与えかねないとして注目を集めています。関西テレビの報道によれば、税制の仕組み上、飲食店などが「仕入れ税額控除」を適用する際に不利益を被る構造的な問題が浮上しており、専門家の間では大量倒産の可能性も指摘されています。
問題の核心は「消費税の逆転現象」にあります。飲食店は食材(食料品)を仕入れる際に消費税を支払い、料理として提供する際に消費税を受け取る仕組みです。食料品の税率が1%に下がると、飲食店が仕入れ時に支払う税額は大幅に減少しますが、一方で料理の提供には現行の外食税率(10%)が適用されるため、差し引きで国に納める税額が大幅に増える可能性があるとされています。税務の専門家の試算によれば、減税の2年間において一部の飲食店では実質的な納税額が最大2倍程度に膨らむ恐れもあるとみられています。
さらに、食料品の減税によって消費者の食料品購入意欲が高まった場合、需要増加に伴う食材価格の上昇が起きるリスクも指摘されています。コロナ禍からの回復途上にある飲食業界は、すでにここ数年の原材料費高騰や光熱費上昇で経営体力が削られている状況です。もし食材価格がさらに上昇すれば、価格転嫁もままならない中小・零細の飲食店を中心に、経営危機が連鎖する懸念があります。
食料品全般の物価高騰はすでに深刻な社会問題となっており、全国の自治体が対策に乗り出しています。各地では電子クーポンの配布や生活支援給付金の支給など、住民の家計負担を和らげる取り組みが相次いで実施されています。こうした地方の対応策が求められている背景には、国レベルの税制改正だけでは対応が難しい「格差」や「地域差」が存在することも見逃せません。
業界関係者の間では、今回の政策方針に対して「消費者の負担軽減という趣旨は理解できるが、制度設計を誤れば飲食業への実害が出る」と懸念する声が少なくありません。特に、インボイス制度の導入以降、消費税の申告・納税に慣れていない中小事業者ほど影響を受けやすいという指摘もあり、丁寧な制度設計と事業者向けの説明・支援が不可欠だと見られています。
今後、税率引き下げの具体的な範囲や経過措置の有無、軽減税率との整合性をどう図るかなど、制度の詳細設計が焦点となります。政府・与党が秋以降の税制改正論議の中でどのような「激変緩和措置」を盛り込むかが、飲食業界の命運を左右する可能性があります。消費者にとってありがたい減税策が、産業への打撃とならないよう、透明性の高い議論と丁寧な制度構築が今後の重要な課題となりそうです。
