「ほんだし」画像崩れ騒動 本質は商品への向き合い方と指摘
味の素公式Xの「ほんだし」画像加工騒動について、ITmedia ビジネスオンラインは「AI使用」自体ではなく自社商品への配慮不足が本質だと指摘しました。
味の素が運営するレシピサイト「味の素パーク」の公式Xが2026年8月14日に投稿した「ほんだし」の画像で、パッケージの英字ロゴが「HONDASHI」ではなく「MONDASHI」に変形するなど表示が崩れていたことが判明し、同社は8月16日に公式X上で謝罪しました。この一件について、ITmedia ビジネスオンラインは、消費者が怒った本質は「AIの使用」そのものではなく、自社の顔であるパッケージの崩れを見過ごした「商品と顧客への愛のなさ」にあると論じています。
経緯を振り返ると、8月14日に「めんつゆが切れてしまって絶体絶命なときはこれを思い出してください」というコピーとともに、「ほんだし」を使っためんつゆの代用レシピが画像付きで投稿されました。8月14日から15日にかけて、画像を拡大したXユーザーから「パッケージの文字がおかしい」「デザインが歪んでいる」「生成AIでは」といった指摘が相次ぎました。これを受け、味の素は8月16日に当該投稿へのリプライという形で経緯を説明し謝罪するとともに、加工前の実写オリジナル画像もあわせて公開しました。8月17日にはITmediaやASCII、J-CASTニュース、スポニチアネックスなど複数の媒体がこの件を報じ、Xのトレンドにも掲載されました。
味の素の説明によれば、今回の画像はゼロから生成した「AI生成画像」ではなく、実写写真にAIで明るさ調整と背景変更を加えた結果、指示していなかったパッケージ文字まで作り変えられてしまった「AIレタッチ事故」だったとされています。使用したAIツールやモデルの名称については、公式・報道のいずれからも公表されておらず、特定のツール名を断定する情報は根拠のない推測とみられます。また、本件を受けて味の素がAI利用ポリシーや制作フローを改定・公表したという続報は、2026年8月19日時点では確認できていません。
背景には、画像編集AIの技術的な仕組みがあります。拡散モデルをベースとした画像編集の多くは、指示された箇所だけをピクセル単位で書き換えるのではなく、元画像をいったん内部表現に変換してから画像全体を作り直す方式が主流とされています。このため「明るくして」「背景を白に」といった指示であっても、指示していないパッケージ文字やロゴまで再生成の対象に含まれることがあります。今回は英字の「HONDASHI」が「MONDASHI」に化けましたが、HとMは縦線2本という共通構造を持ち横棒の形状が異なるだけであり、日本語に限らず英字表記でも崩れが起こり得ることを示す事例といえます。
ITmedia ビジネスオンラインの記事は、この一連の流れの中で本質を「AI活用の是非」という技術論に矮小化することへの疑問を投げかけています。同記事は、ユーザーが怒ったのはAIを使ったこと自体ではなく、自社商品のパッケージが崩れて表示されているのを確認せずに投稿してしまった、その確認体制や商品への向き合い方への不信感だと分析しています。閲覧者が画像を拡大して見るという前提が、投稿前の検収工程に組み込まれていなかった可能性がうかがえます。
なお、8月17日には別件として、すかいらーくホールディングスが運営するガストの公式XでもAI画像投稿によるマスコットの造形崩れが指摘され、時期が近かったことから批判が増幅した経緯もありました。ただし、すかいらーくホールディングス側の公式対応の有無については未確認とされています。
今後は、写真補正や背景差し替えといった「軽い」AI編集であっても、公開前に拡大表示で細部を確認する検収フローの整備が、企業の広報・SNS運用の現場で課題として意識されていくとみられます。生成AIによるイラスト作成だけでなく、実写写真へのAIレタッチにも同様のリスクがあるという認識が広がるかどうかが、今後の企業対応の焦点になりそうです。
