経産省、事業承継税制で相続・贈与税免除へ 27年度税制改正要望
経済産業省は中小企業の事業承継税制について、成長投資や賃上げに取り組む後継者を対象に相続税・贈与税を免除する検討に入りました。2027年度の税制改正要望に盛り込む方針です。
経済産業省は2026年8月22日までに、中小企業の事業承継を後押しする事業承継税制について、相続税と贈与税の免除を検討する方針を固めました。成長投資や賃上げに取り組む後継者を対象とする案で、2027年度の税制改正要望に盛り込む見通しです。具体的な制度設計は年末にかけて政府・与党内で調整されるとみられます。
現行の事業承継税制は、非上場株式などを引き継いだ後継者について、相続税や贈与税の納税をいったん猶予したうえで、一定の要件を満たせば実質的に免除する仕組みとなっています。経産省は今回の見直しで、成長投資や賃上げに積極的に取り組む企業をあらかじめ免除の対象とすることで、後継者にとっての税負担の見通しを立てやすくする狙いがあるとみられます。
事業承継税制をめぐっては、中小企業庁が所管する法人版の制度が2018年度の税制改正で大きく拡充された経緯があります。特例措置では、非上場会社の株式にかかる相続税・贈与税の納税が猶予・免除される仕組みが設けられ、中小企業の円滑な世代交代を支援する政策減税として位置づけられてきました。
特例措置の適用を受けるには、都道府県庁への特例承継計画の提出と確認が必要で、後継者の氏名や事業承継の予定時期、承継後5年間の事業計画などを記載したうえで、認定経営革新等支援機関による指導・助言を受ける必要があります。中小企業庁によると、特例承継計画は2027年9月30日までに申請し、同年12月31日までに事業承継を行う必要があるとされています。認定後も都道府県への年次報告や税務署への継続届出書の提出が求められるなど、手続きは比較的煩雑な制度となっています。
中小企業の経営者の高齢化が進むなか、後継者不足や税負担への懸念から事業承継が円滑に進まないケースが指摘されてきました。経産省が今回検討する免除措置は、こうした課題に対応し、成長投資や賃上げを条件とすることで、中小企業の生産性向上や賃金の底上げにもつなげたい考えとみられます。
今後は2027年度の税制改正要望の具体的な内容が固まるにつれ、免除の対象となる成長投資や賃上げの基準、適用要件などが焦点となりそうです。年末にかけての政府・与党内の調整を経て、中小企業の事業承継を取り巻く税制がどのように変わるか、引き続き注目されます。
