台湾デジタル担当相経験者タン氏「AIを親友視するな」と警鐘
台湾の初代デジタル担当相を務めたオードリー・タン氏が日経ビジネスのインタビューで、AIを「親友」のように誤認せず、人間の判断を支える道具として使うべきだと語りました。
天才的プログラマーとして知られ、台湾の初代デジタル担当相を務めたオードリー・タン氏が、日経ビジネスのインタビューでAI(人工知能)の進化とリスクについて語りました。同インタビューは2026年8月25日に掲載され、聞き手は同誌の山崎良兵氏が務めました。
タン氏はインタビューの中で、AIを「親友」のように受け止め、人間関係や重要な判断そのものを代替させることに警鐘を鳴らしました。AIはあくまで人間の判断を支える「支援的知能」として位置づけるべきだという考え方を示したといいます。
近年、AIについては「サイバー攻撃を高度化させている」「人間の仕事を奪う」といった懸念が高まっており、経営者や産業界の間でもAIとの向き合い方が問われる場面が増えています。タン氏はこうした懸念に触れつつ、AIの進化に伴うリスクと、それに対して経営者がどう対応すべきかという論点についても言及しました。
今回のインタビューは、タン氏の著書『PLURALITY 対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来』が2025年5月に日本で出版された際に行われたインタビューから、1年3カ月ぶりの機会となりました。前回は「社会の分断や憎悪を、AIを活用してどう乗り越えるのか」といったテーマについて語られており、今回はAIそのものの位置づけやリスクに焦点が当てられた形です。
インタビューの中でタン氏は、AIのインパクトを過小評価していては、日本の産業が世界から取り残される可能性があるとの見方も示しました。単なる懸念にとどまらず、AIを戦略的に活用する視点の重要性を指摘した点が特徴といえます。
SNS上でもこの発言は話題となり、AIとの日常的な対話のあり方について、利用者自身が改めて考えるきっかけになったとの反応も見られました。生成AIが日常生活やビジネスの場面に浸透する中、タン氏の指摘は、便利さと距離感のバランスをどう取るかという課題を改めて浮き立たせるものとなりました。
今後、日経ビジネスでは同インタビューの続編(下)の掲載も予定されており、AIをめぐる経営者やビジネスパーソンの向き合い方について、さらに議論が深まっていくことが見込まれます。AI技術の進化が加速する中、タン氏が示した「支援的知能」という考え方が、企業や個人のAI活用の指針としてどのように受け止められていくか、注目されます。

