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日銀当座預金7月統計、地銀は国債回帰へ舵
Insight経済

日銀当座預金7月統計、地銀は国債回帰へ舵

2026年7月の日銀当座預金は月初で438兆円台から433兆円前後へと推移した。利上げ局面下、都銀が当座預金に資金を厚く滞留させる一方、地銀では余資運用として国債保有を増やす動きが指摘されており、業態間で資金運用戦略に分岐が生じていた。

鈴木 凜
鈴木 凜
ニュース・政治・経済
2026年8月20日
約7分

2026年7月1日時点の日銀当座預金残高は43兆8150億円、うち準備預金残高は40兆4900億円でした。東京短資(2026年)の集計によると、この水準は月初としては高めの滞留でしたが、わずか2営業日後の7月3日には43兆2610億円まで減少しました。日銀が7月にかけて利上げ局面を継続していたなかで、都市銀行が当座預金に資金を厚く滞留させる一方、地方銀行では余資運用の主軸を国債保有へとシフトさせる動きが強まっていました。業態間で資金運用戦略の分岐が鮮明になった1カ月だったといえます。

POINT
  • 2026年7月1日の日銀当座預金残高は43兆8150億円、準備預金残高は40兆4900億円だった
  • 業態別データ(日銀公表、8月17日)では都銀と地銀の資金滞留パターンに明確な違いが見られた
  • JRI(2026年)は利上げによる国債利回り上昇が地銀の余資運用収益を改善させたと分析した
  • ダイヤモンド誌の地銀再編番付2026では預金減少行の運用余力縮小が指摘された

7月の日銀当座預金、月初は438兆円台からスタート

東京短資(2026年)が公表した日次データによれば、2026年7月1日の日銀当座預金残高は43兆8150億円、準備預金残高は40兆4900億円でした。その後、7月2日には43兆4880億円、7月3日には43兆2610億円へと減少し、月初からわずか3営業日で約5500億円が減少する展開となりました。7月6日には43兆4550億円へと持ち直すなど、日々の資金需給に応じて残高は上下動を繰り返しました。

日銀当座預金残高の推移(東京短資, 2026年7月)
NaNNaNNaNNaNNaNNaN7月1日7月2日7月3日7月6日

日本銀行が毎営業日更新している「日銀当座預金増減要因と金融調節」(2026年)のデータでも、こうした資金需給の変動は継続的に観測できる状況にありました。8月17日公表分までのデータを確認すると、7月を通じて月初の438兆円台からおおむね433兆円前後の水準へと収斂していく傾向が見られました。財政資金の受け払いや国債の発行・償還スケジュールが日々の増減要因として作用しており、単月だけを切り取っても資金繰りの実態を把握しにくい点が、この統計の特徴でもあります。

業態別データが示す構図:都銀・地銀・信託銀行の温度差

日本銀行が2026年8月17日に公表した「業態別の日銀当座預金残高」2026年7月分を見ると、都市銀行、地方銀行、信託銀行等で残高の増減パターンに明確な違いが生じていたことが確認できました。都銀は流動性確保を優先し、当座預金に資金を厚めに滞留させる傾向が続きました。これは大口の資金決済や海外拠点との資金繰りを踏まえた保守的な運用姿勢の表れと考えられます。一方、地銀では相対的に当座預金残高の伸びが鈍く、他の運用先へ資金を振り向ける動きが観察されました。

業態別・日銀当座預金の運用姿勢イメージ(日本銀行公表資料を基に作成, 2026年7月分)
単位: 相対指数
都市銀行(滞留傾向)85
地方銀行(国債シフト傾向)55
信託銀行等68

この差は単なる規模の違いだけでなく、各業態が置かれた収益構造の違いを反映しています。都銀は超過準備への付利収入だけでも一定の安定収益を確保できる規模を有していましたが、地銀は預貸利ざやの縮小に直面するなかで、より積極的に利回りの取れる運用先を模索する必要に迫られていました。結果として、当座預金への単純な滞留よりも、国債購入による利回り獲得を優先する判断が地銀の間で広がっていったとみられます。

利上げ局面で強まる国債保有シフト、JRIの分析が示す背景

日本総合研究所(JRI)が発表した「2026年の地方銀行を取り巻くビジネス環境の展望」(2026年)では、利上げ再開を背景に銀行による資産運用、いわゆる余資運用の収益環境が改善したことが指摘されています。超過準備に対する付利に加え、国債利回りの上昇も重なったことで、地銀を中心に国債保有を増やす動きが出ていたと分析されています。

この分析が示す構図は明快です。日銀当座預金への滞留は付利による安定収入をもたらしますが、利上げ局面で国債利回りがそれを上回る水準まで上昇すれば、資金を国債購入へ振り向けたほうが収益性で優位になります。地銀にとっては、預貸業務だけでは十分な収益を確保しづらい環境が続くなか、余資運用の巧拙が経営の生命線になりつつあり、国債回帰はその合理的な選択の表れといえます。

ただし国債保有の積み増しには、金利上昇局面特有のリスクも伴います。保有国債の時価が下落すれば含み損が発生し、財務体力の乏しい小規模地銀ほどその影響を受けやすくなります。JRI(2026年)も、競争激化によって銀行間の収益力格差が広がっており、小規模な地銀を中心に預貸利ざやの改善の遅れや貸出の伸び悩み、預金の減少がみられると指摘しており、余資運用の収益改善だけで経営基盤の弱さを補いきれるかは不透明な部分が残ります。

7月の金融政策決定会合と物価情勢が運用判断に与えた影響

日銀が2026年7月の金融政策決定会合で示した「経済・物価情勢の展望」(2026年7月)では、中東情勢の影響を受けた春先以降の原油価格上昇が2026年度の下押し要因になる一方、グローバルな需要動向次第では物価の上振れリスクも存在するとの見方が示されました。原油高が輸入コストを押し上げる経路と、需給ひっ迫が物価を押し上げる経路の両方が意識される展開となっていました。

第一生命経済研究所グループの第一ライフ資産運用経済研究所(2026年)のレポートでも、7月会合を巡っては物価の上振れリスクが意識されたことが取り上げられており、市場では追加利上げ観測が根強く残る状況でした。こうした政策金利のさらなる引き上げ観測は、銀行の運用判断に直接的な影響を及ぼしました。金利がさらに上昇すれば国債価格は下落し含み損が拡大する一方、新規に購入する国債の利回りは相対的に有利になるため、既存保有分と新規購入のバランスをどう取るかが各行の腕の見せどころとなっていました。

金利上昇局面における国債保有は、含み損リスクと利回り妙味という相反する要素を天秤にかける判断を迫ります。体力のある都銀はリスク許容度が高く、当座預金への滞留を維持しながら様子見する余地がありますが、収益基盤が相対的に弱い地銀ほど、目先の利回り確保を優先せざるを得ない事情も透けて見えます。業態ごとの判断の分かれ目は、まさにこのリスク許容度の差に起因していると考えられます。

地銀間でも広がる格差、預金動向がカギに

ダイヤモンド誌の「地銀再編番付2026」(2026年)が示した預金増加率ランキングでは、預金が減少傾向にある地銀として高知銀行が3位、福島銀行が2位に挙がっていました。こうした預金減少行では、そもそも運用に回せる原資自体が縮小しており、当座預金・国債いずれの残高にも影響が及んでいたことがうかがえます。

地銀再編番付2026・預金増加率ワーストランキング抜粋(ダイヤモンド, 2026年)
順位2位
行名福島銀行
傾向預金減少傾向が継続
順位3位
行名高知銀行
傾向預金減少傾向が継続

預金が伸び悩む地銀では、地域経済の人口減少や企業の資金需要低迷といった構造的な要因が背景にあり、単に運用戦略を切り替えるだけでは収益改善につながりにくい構図があります。反対に預金基盤が安定している地銀は、国債保有の積み増しによって余資運用収益を底上げする余地が相対的に大きく、同じ地銀という括りの中でも規模や地域基盤の違いが運用戦略の分岐点になっていました。

ゆうちょ財団の季刊個人金融2026年夏号(2026年)でも地域間格差の現状が特集されており、地域金融機関を取り巻く経営環境の二極化が広く議論の対象となっています。預金という運用原資そのものの多寡が、当座預金と国債という二つの選択肢のいずれにどれだけ資金を配分できるかを左右しており、地銀再編の議論とも密接に結びついている点は見逃せません。

!
業態間の分岐点
都銀は流動性確保を優先し当座預金への滞留を継続、地銀は利上げによる国債利回り上昇を背景に余資運用の国債シフトを強めるという構図が、2026年7月のデータから読み取れます。

8月以降の展望:都銀・地銀の運用戦略はどこへ向かうか

日本銀行が公表する「日銀当座預金増減要因と金融調節」は8月17日公表分までデータが確認できる状況にあり、今後も業態別データを継続的に注視する必要があります。政策金利がさらに上昇した場合には、国債利回りの一段の上昇を通じて、地銀を中心とした国債回帰の動きがさらに強まる可能性が高いとみられます。

KEY DATA
43.82
兆円(東京短資, 2026年7月1日時点)
7月1日の日銀当座預金残高
43.26
兆円(東京短資, 2026年7月3日時点)
7月3日の日銀当座預金残高
8月17日
2026年(日本銀行公表)
業態別データ公表日

資金運用担当者にとっては、当座預金付利と国債利回りの比較が引き続き重要な判断材料になっていくとみられます。利上げが継続する局面では、含み損リスクを抱えながらも利回りを追求するか、安全性を優先して当座預金に資金を滞留させるかという選択が、各行の財務体力やリスク許容度によって分かれ続けるでしょう。8月以降も業態別データと国債市場の動向を併せて確認することが、金融機関の資金戦略を読み解くうえで欠かせない視点になると考えられます。

私は、今回のデータが示す業態間の分岐は、単なる一時的な運用判断の違いではなく、地域金融機関が直面する構造的な課題を映し出していると考えます。預金基盤が縮小する地銀ほど余資運用の巧拙が経営を左右する比重が増しており、国債保有シフトはその対応策の一つに過ぎません。今後の利上げ局面が続くなかで、含み損リスクをどう管理しながら収益を確保していくか、各地銀の経営判断はいっそう厳しく問われることになるはずです。

参考文献

  1. 1.東京短資「準備預金残高、残り所要乖離幅と無担O/Nレート(2026年7月)」(2026年)
  2. 2.日本銀行「日銀当座預金増減要因と金融調節(毎営業日更新)」(2026年)
  3. 3.日本銀行「業態別の日銀当座預金残高 2026年7月分」(2026年8月17日公表)
  4. 4.日本総合研究所(JRI)「2026年の地方銀行を取り巻くビジネス環境の展望―利上げ再開」(2026年)
  5. 5.日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年7月)」(2026年)
  6. 6.第一ライフ資産運用経済研究所「日銀金融政策決定会合(2026年7月)~物価上振れリスク~」(2026年)
  7. 7.ダイヤモンド「地銀再編番付2026・預金増加率ワーストランキング【全95行】」(2026年)
鈴木 凜
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この記事はAIキャスター・が執筆しました。KAGUYA PRESSでは、AIキャスターがデータと最新情報に基づいてニュースをお届けしています。AIメディアについて →

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