日銀利上げ後の円相場、156円台急騰と160円台回帰観測が併存
日銀は2026年9月18日の金融政策決定会合で0.25%の追加利上げを決定しましたが、ドル円は円買いではなく157円台まで上昇しました。9月上旬には153円割れまで円高が進んだ一方、月内に160円台回帰観測も浮上。利上げ直後の相場が急騰・急落を繰り返す背景と、日本経済への示唆を整理します。
日本銀行は2026年9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げることを決定しました。市場では事前に利上げが予想されていましたが、発表後の東京外国為替市場では円買いではなく円売りが優勢となり、ドル円は156円台前半から一時157円台まで上昇しました(ガイタメ.com、2026年)。
利上げにもかかわらず円安が進んだ背景には、9月上旬にかけて急速に進んだ円高局面での投機筋のポジションの巻き戻しがあったとみられます。わずか1カ月余りの間に10円以上の値幅を記録した今回の相場変動は、利上げ直後の市場が構造的な不安定さを抱えていることを浮き彫りにしました。
- 日銀は2026年9月18日、政策金利を0.25%引き上げたが、ドル円は157円台まで上昇した
- 9月7日には節目の155円を割り込み、一時153円を下回る急激な円高が進んだ
- 投機筋の円ロングポジションの巻き戻しが円安転換の一因とみられる
- 158円台半ばの200日移動平均線を突破すれば、160円方向への戻りが視野に入る
9月上旬の急激な円高から一転した相場
2026年9月3日、東京外国為替市場でドル円は1ドル156円台まで急騰しました。これは8月3日以来、およそ1カ月ぶりの円高・ドル安水準でした(note.com、2026年)。ところがこの円高の勢いは長続きせず、9月7日には節目となる155円を割り込み、一時153円を下回る水準まで調整が進みました。1カ月強で10円以上の円高・ドル安が進んだ形です(野村證券、2026年)。
野村證券(2026年)によると、この時期の円高の背景には、日銀の利上げ加速への期待に加え、日本の債券市場安定への期待があったとみられます。G20財務相・中央銀行総裁会議の前後には、米財務長官による日本政府・日銀への円安是正圧力が一段と鮮明になったとの見方も伝えられました。また、CFTC(米商品先物取引委員会)の統計では、レバレッジドファンドの円売り持ち高が9月1日時点で87億米ドルに達し、春に実施された協調介入前の水準に近づいていたとされます。こうした投機的な円ショートの積み上がりが、その後の急激な円高の伏線になっていたとの分析があります。
| 日付 | 水準 | 主な動き |
|---|---|---|
| 8月3日 | 156円台 | この時点の水準がその後1カ月間の基準に |
| 9月3日 | 156円台 | 8月3日以来およそ1カ月ぶりの円高水準 |
| 9月7日 | 153円台 | 節目155円を割り込み急激な円高 |
| 9月18日 | 157円台 | 日銀0.25%利上げ後、円売りが優勢に |
なぜ利上げ後に円安が進んだのか
ガイタメ.com(2026年)が伝えた為替アナリスト佐々木融氏の分析によると、今回の円安転換の主因は投機筋のポジションの偏りにあります。9月上旬の円高局面では、日米当局による円安対応やGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産配分を巡る思惑を背景に、海外のヘッジファンドなどが円買いポジションを積み上げていたとの見方があります。そのため、9月18日の利上げが市場予想の範囲内にとどまったことで、積み上がっていた円ロングが巻き戻され、結果的に円売りにつながった可能性があります。
政策の局面が変化した──植田和男総裁は記者会見で、物価上昇率が2%程度で安定していくことが重要になるとの認識を示しました。
この発言を受けてドル円は一時156円台半ばまで下落しましたが、植田総裁が同時に、資産価格の大幅な調整や貸し出しへの悪影響を避けるため急激な利上げは避ける必要があるとの考えも示したことから、市場では「利上げは続けるが急ピッチではない」との受け止めが広がり、ドル円は再び157円台へ上昇しました(ガイタメ.com、2026年)。
160円台回帰観測の根拠
今後のドル円相場を見るうえで注目されるのが、158円台半ばに位置する200日移動平均線です。佐々木氏は、ドル円がこの水準を明確に上回れば再び160円方向を試す展開が意識されやすくなると指摘しています。逆にこの水準で上値を抑えられれば、当面は方向感を欠く展開が続く可能性もあるとみられます(ガイタメ.com、2026年)。
日銀の利上げ判断を支えた要因としては、中東情勢を背景としたエネルギー価格の上昇、AI関連需要の拡大、予想物価上昇率の上昇、賃金上昇の継続が挙げられています。特に賃金と物価がともに上昇する動きが続くかどうかは、今後の金融政策見通しを左右する重要な要素です(ガイタメ.com、2026年)。
日本経済への示唆
日本はエネルギーの多くを輸入に依存しているため、原油高が進むと輸入額が増え、貿易収支が悪化しやすくなります。さらにエネルギー価格上昇によってインフレ率が高まる一方、名目金利の上昇が追いつかなければ実質金利は低下し、円保有の魅力が下がることで円安要因となります(ガイタメ.com、2026年)。日銀が利上げを続けても、FRBなど海外中銀の利上げペースがそれを上回れば日米金利差は縮小せず、日銀利上げの円高効果は限定的になりかねません。今後は米PMIやPCEデフレーター、雇用統計を通じて米国の景気・インフレの強さを確認する必要があります。
まとめ
私は、今回の急騰・急落の併存は、日銀の利上げという「事実」よりも、投機筋のポジション調整という「需給」が短期的な相場を動かしている典型例だと考えます。利上げが実施されても、それが市場予想の範囲内であれば材料としては消化されやすく、むしろポジションの巻き戻しが逆方向の値動きを生みます。158円台半ばの200日移動平均線を巡る攻防と、原油価格・FRBの金融政策・日米金利差という複数の変数が絡み合う限り、153円台と160円台の間で振れる不安定な相場展開が当面続くと私はみています。
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参考文献
- 1.【速報解説】日銀利上げでも円安進行、ドル円は再び160円に戻る(gaitame.com、2026年9月18日)
- 2.急激な円高の背景と今後の見通し 米利上げで155円台回復(野村證券、2026年9月14日)
- 3.ドル円、円安急進 日銀利上げ後157円台 為替介入の可能性も(IG証券、2026年)
- 4.1ドル156円台への急騰 日銀の利上げ加速観測と(note.com、2026年9月3日)
- 5.藤代宏一「日銀の利上げで円安が進む可能性も」第一生命経済研究所(2026年)
- 6.【ドル円見通し総まとめ】2026年末のドル円はどうなる?日銀(gaitame.com、2026年8月25日)

