日経平均7万円を牽引する半導体株、バブルか成長か
日経平均株価が7万円水準に迫る中、半導体関連株が相場をけん引している。専門家の間ではバブル論も浮上するが、AI需要を背景とした実需の存在が強調されている。
日経平均株価が7万円という歴史的な水準に向けて上昇基調を続けています。この動きを主導しているのが半導体関連銘柄です。生成AIや物理的な環境で動作する「フィジカルAI」の普及拡大を背景に、半導体需要は中長期的な拡大局面にあるとみられており、国内外の機関投資家による資金流入が続いています。
野村證券のストラテジスト・岡崎康平氏は、現在の株高はバブルではないとの見方を示しています。その根拠として挙げられるのが、企業収益の実態です。半導体メーカーやその関連装置・材料メーカーの業績は、AI向け需要という実需に裏打ちされており、1990年代のバブル期のように収益実態を大きく上回る株価形成にはなっていないとされています。PER(株価収益率)などのバリュエーション指標も、一部高水準ではあるものの、過去のバブル局面と比較すると正当化できる範囲内との見方が市場関係者の間では多数を占めます。
市場では「AI半導体相場はまだ五合目」との見立ても広がっています。データセンターの爆発的な増設、自動運転・ロボティクスへのAI実装、そしてエッジデバイスへのAI組み込みといった波が、まだ本格化していないと考えられているためです。こうした中、2024年に東証プライムへ上場を果たしたキオクシアホールディングスの成功事例を受け、「次のキオクシア」となり得る企業を探す動きが投資家の間で活発化しています。半導体製造装置、素材・化学品、設計ツール(EDA)など、サプライチェーン全体に目を向ける視点が重要と業界関係者は指摘しています。
こうした流れを受け、資産運用業界でも半導体・フィジカルAI関連への資金配分を強化する動きが加速しています。モルガン・スタンレーが組成した「フィジカルAI株式ファンド」など、AIの物理実装に特化した投資信託も国内市場に登場しており、個人投資家の選択肢も広がっています。フィジカルAIとは、生成AIのようにテキストや画像を処理するだけでなく、ロボットや自動車など現実世界の「物体」を制御するAI技術を指します。この分野には、高性能なGPUやセンサー、専用チップへの需要が集中するとみられています。
一方でリスク要因も無視できません。米中間の半導体輸出規制をめぐる緊張は依然として続いており、規制の強化・緩和いずれの方向にも市場が敏感に反応する状況です。また、設備投資過剰による供給過多が発生した場合、過去のシリコンサイクルと同様に急激な価格下落と株価調整が起きる可能性も残っています。市場関係者の間では、個別銘柄の選別眼がこれまで以上に問われる局面との認識が広がっています。
今後の展望について、業界関係者は2027年以降に向けてAI関連の設備投資サイクルが第二波に入るとの見方を示しています。特に国内では、熊本・北海道など各地での半導体工場建設が進んでおり、製造エコシステムの国産化が加速するとみられます。日経平均7万円という水準が「通過点」となるかどうかは、企業業績の持続的な拡大と、地政学リスクの動向に大きく左右されることになりそうです。半導体株相場の「頂上」がどこにあるのか、市場の注目は当面、各社の決算発表と米国の対中規制動向に集まりそうです。
