NTT、デジタル病理画像の超長期・大容量ストレージ検証を開始
NTTは医療・研究分野のデジタル病理画像データを対象に、超長期・大容量データストレージのサービス化に向けた検証を開始したと発表しました。医療DXの加速を背景に、膨大な医療データの長期保管・活用基盤の整備が本格化しています。
NTTは2026年6月、デジタル病理画像をはじめとする医療・研究データの活用を支える「超長期・大容量データストレージ」のサービス化に向けた検証を開始したと発表しました。病理診断のデジタル化が医療機関で広がる中、数十年にわたる長期保管と大容量データの安定的な運用を両立させるインフラ整備が急務となっており、今回の取り組みはその実現に向けた重要なステップと位置づけられています。
デジタル病理画像とは、従来ガラスのスライドで管理されていた病理標本を高解像度スキャナーで電子化したものです。1枚のデジタル病理画像のデータ容量は数百MB〜数GBに及ぶとみられており、大規模病院や研究機関では年間で膨大なデータが蓄積されます。これらのデータは診療記録としての長期保管が求められるだけでなく、AIを活用したがん診断支援や創薬研究など、二次的な研究利用への期待も高まっています。
医療分野のデータ管理をめぐっては、国内外で規制・制度の整備が進んでいます。国内では、次世代医療基盤法の改正や電子カルテ標準化の推進など、医療データの利活用を促す政策が相次いで打ち出されています。一方で、長期保管に対応できるストレージ技術や、セキュリティを担保しながらデータを研究者・医療機関間で共有できる仕組みの不足が、現場での課題として指摘されてきました。
今回NTTが検証を進めるストレージサービスは、数十年単位の超長期保管を前提とした設計が特徴とされています。通常のクラウドストレージと比較して、データの劣化リスクを低減しつつ、必要なタイミングでの迅速なデータ取り出しにも対応することが目指されているとみられます。また、医療データという高い機密性を持つ情報を扱うため、アクセス制御やデータの暗号化といったセキュリティ面の検証も並行して行われる見込みです。
医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、政府の重点政策の一つでもあります。2025年度末を目標に掲げていた電子カルテの普及促進は一定の進展を見せており、医療機関におけるデジタルデータの取り扱い量は今後さらに増加すると予想されています。こうした背景から、NTTのような大手通信・IT企業が医療向けデータ基盤の整備に乗り出す動きは、業界全体の潮流として今後も続くとみられています。
今後の展望としては、今回の検証結果を踏まえたサービスの実用化が注目されます。デジタル病理画像のみならず、ゲノムデータや医用画像(MRI・CTなど)といった他の大容量医療データへの応用も期待されており、医療機関や製薬企業、研究機関など幅広い分野での導入が見込まれます。超長期・大容量ストレージの整備が進むことで、日本の医療・研究データ活用の基盤が一段と強化されるか、関係者からの注目が集まっています。
