高市首相のインド訪問に150社が同行、経済連携強化へ官民一体の外交展開
高市早苗首相がインドを公式訪問するにあたり、日本企業約150社が同行する見通しであることが明らかになった。グローバルサウスの盟主として存在感を増すインドとの経済・安全保障両面での関係強化が目的とみられる。
高市早苗首相によるインド公式訪問に際し、日本企業約150社が経済ミッションとして同行する方向で調整が進んでいることが、複数の関係筋への取材で明らかになった。単一の首脳外交に伴う経済ミッションとしては近年最大規模の一つとみられ、日印関係を「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」のさらに上のステージへ引き上げる狙いがあると考えられる。
インドは2023年に中国を抜いて世界最多の人口を擁する国となり、国際通貨基金(IMF)の推計では2025年時点でGDPが世界第5位圏に達したとみられている。製造業の集積地としても急速に注目度が高まっており、中国への依存リスクを分散させたいサプライチェーン再編の文脈で、インドを重要な代替拠点として位置付ける日本企業が増加している。今回の同行企業には製造業、インフラ、デジタル、金融など幅広いセクターが含まれる見込みだ。
日本とインドの間ではすでに「日印包括的経済連携協定(CEPA)」が発効しており、二国間貿易額は拡大傾向にある。また、日本政府はインドへの円借款供与で長年にわたりインフラ整備を支援してきた実績を持つ。今回の首脳訪問では、半導体・デジタルインフラ分野での新たな協力覚書(MOU)の締結や、防衛装備・技術移転をめぐる協議の深化が議題に上がるとみられている。
安全保障面でも、インドとの連携強化は日本の外交戦略上の重要課題となっている。日米豪印の枠組みである「クアッド(Quad)」は近年その実質的な協力内容を拡充してきており、インド太平洋地域の安定維持という観点から、日印二国間の防衛協力を底上げすることが急務とされている。外務省関係者によれば、今回の訪問はクアッドの文脈とも連動した戦略的位置付けを持つという。
国内経済界の間でも、インドへの期待感は高まる一方だ。製造コストの上昇や地政学的リスクを背景に、東南アジアからさらに西へと投資先を多様化しようとする動きが加速している。業界関係者の間では「インドの中間所得層の拡大は今後10〜20年にわたって消費市場としての成長を牽引する可能性がある」との見方が広がっており、今回の官民一体の訪問がビジネス環境整備への弾みとなることを期待する声が多い。
一方で課題も残る。インドは独自の外交路線を重視する「戦略的自律性」を外交原則に掲げており、日本側が期待する形での多国間協力への参加に対して慎重な姿勢を崩さない場面も見受けられる。また、インド国内のビジネス環境については規制の複雑さや土地取得の困難さを指摘する声も依然として多く、進出後の事業運営に課題を感じる企業も少なくない。
今後の見通しとして、今回の訪問を契機に日印間のサプライチェーン連携や半導体関連産業での協力が具体化していくかどうかが焦点となる。政府・経済界双方が高い関心を持って注目する中、外交の成果をいかに実体経済への恩恵につなげるかが、高市政権の対インド政策の真価を問う試金石になるとみられる。
