韓国国会、検察の「補完捜査」権限を廃止する刑訴法改正案を可決
韓国国会は2026年7月31日、検察による「補完捜査」制度の廃止を盛り込んだ刑事訴訟法改正案を可決しました。与党・共に民主党が主導した今回の改正に対し、野党側は強く反発しています。
韓国国会は2026年7月31日、検察が警察の捜査を補完・指揮できる「補完捜査」制度の廃止を柱とした刑事訴訟法改正案を可決しました。与党・共に民主党をはじめとする親政府系勢力が数の力で押し切る形で可決に至ったもので、野党側は「捜査機関の機能を著しく損なう」として強く反発しており、今後も法的・政治的な対立が続くとみられます。
「補完捜査」とは、警察が一次捜査を終えて事件を検察に送致した後、検察が不十分と判断した場合に警察へ追加捜査を指示・要求できる制度です。韓国では2021年に検察の直接捜査権を大幅に縮小する改正が行われて以降、警察と検察の役割分担をめぐる議論が繰り返されてきました。今回の改正はその延長線上にあり、検察の捜査権限をさらに制限しようとするものです。
改正案の主な内容は、検察が警察に対して補完捜査を要求できる条件を事実上撤廃し、検察は起訴・不起訴の判断に専念するという役割分離を徹底させる点にあります。推進側は「捜査と起訴の分離によって公正な刑事司法が実現する」との立場を取っており、捜査権の一元化が不正防止につながるとも主張しています。一方で、実務上の影響を懸念する声は法曹界や捜査当局の内部からも上がっているとされています。
これに対し野党・国民の力などは、「補完捜査の廃止は証拠収集や事実解明を不完全なまま終わらせるリスクを高める」として採決に猛反発しました。採決当日の国会では野党議員らがプラカードを掲げて抗議する場面もみられたと報じられています。一部の野党議員は憲法裁判所への提訴も視野に入れているとされており、法廷闘争に発展する可能性も排除できません。
韓国では近年、政権と検察の関係をめぐる政治的対立が繰り返し表面化してきました。尹錫悦前大統領の弾劾・罷免という激動を経た現在の政治情勢のなかで、今回の刑訴法改正は「検察改革」をめぐる与野党の根深い対立の一断面を示すものとも受け止められています。改正の背景には、検察権力の肥大化を警戒する世論と、捜査の実効性を守ろうとする立場の綱引きがあるとみられます。
今後の焦点は、改正法が実際に施行された場合の捜査実務への影響と、野党側が法的手段に踏み切るかどうかにあります。憲法裁判所や大法院(最高裁)での判断が求められる展開になれば、施行が一時停止される可能性もあるとみられます。また、韓国の刑事司法制度の方向性は日本を含む周辺国にとっても参考事例となり得るだけに、国際社会からの注目度も高く、今後の動向が引き続き注視されます。
