ファーウェイ、エヌビディアAI半導体開発の物理的限界を警告
中国ファーウェイが、エヌビディアのAI半導体開発が半導体微細化の物理的限界に近づいているとの見解を示したと報じられました。半導体業界の技術的な壁と米中間の技術覇権競争が改めて注目されています。
中国の通信機器大手ファーウェイが、米エヌビディアが手掛けるAI(人工知能)向け半導体の開発について、物理的な限界に近づいているとの見解を示したと報じられました。半導体の微細化技術は年々進んでおり、これまで性能向上を支えてきましたが、トランジスタのサイズが原子レベルに近づく中で、従来の手法による性能向上には限界があるとの指摘が業界関係者からも出ています。
半導体の微細化はこれまで「ムーアの法則」と呼ばれる経験則に沿って進んできましたが、近年はプロセスノードが2ナノメートル台に入るなど、原子数個分に相当する領域まで進んでいます。この水準に達すると、量子力学的な効果によって電子の挙動が不安定になりやすく、従来の設計手法だけでは性能向上を続けることが難しくなるとみられています。
エヌビディアはAI向けGPU(画像処理半導体)市場で高いシェアを持ち、生成AIブームを背景に業績を拡大させてきました。一方で、AIモデルの大規模化に伴い、半導体には従来以上の計算能力と省電力性能が求められるようになっており、微細化だけに依存しない新たなアーキテクチャや3次元積層技術などの開発競争が激化しているとされます。
今回のファーウェイの見解は、米中間の半導体技術をめぐる覇権争いの文脈でも注目されています。米国は先端半導体の対中輸出規制を強化しており、中国企業は自国製の半導体技術の開発を加速させています。ファーウェイ自身も独自のAI向け半導体「昇騰(アセンド)」シリーズを展開しており、エヌビディア製品への依存を減らす動きを進めているとみられます。
背景には、米6月の貿易赤字が前月比5.6%減の733億ドルとなったものの、AI関連投資の拡大により今後輸入が増加する可能性があるとの報道もあり、AI関連のハードウェア需要は依然として世界的に高い水準にあります。半導体の技術的な壁が指摘される一方で、需要そのものは拡大が続いているという構図が浮かび上がっています。
また、世界銀行グループとIFC(国際金融公社)がエッジAI分野への投資を初めて実施したとの報告もあり、AI技術の応用範囲がデータセンター向けの大規模計算から、端末側での処理を担う「エッジAI」へも広がりつつあります。投資家の間では、AI開発における技術的な限界や地政学リスクを踏まえた「主権あるAI」という視点への関心も高まっているとされます。
今後は、半導体の微細化に代わる技術革新として、チップレット技術や新素材の採用、AIモデル自体の効率化などが進むとみられます。米中双方の半導体開発競争は続くとみられ、エヌビディアをはじめとする主要企業がどのような技術的ブレークスルーを示すか、業界関係者の間で注目が集まりそうです。
