NISA投資「オルカン一択」に見直し論、債券・為替リスクが浮上
少額投資非課税制度(NISA)の拡充を背景に人気を集める「オルカン」投資について、債券の欠如や為替変動リスクを踏まえた再検討の必要性を指摘する声が広がっています。
少額投資非課税制度(NISA)の拡充以降、日本国内では個人による有価証券投資が急速に広がりました。その中心的な存在となっているのが、「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」に連動する投資信託、通称「オルカン」です。インフレが定着しつつある経済環境の中で、資産運用への関心が高まる流れ自体は望ましいとされていますが、その人気の裏で見落とされがちな課題も指摘され始めています。
指摘されている問題点の第一は、オルカンには債券が含まれていないという構造上の特徴です。世界株式全体に分散投資できる利点がある一方で、資産クラスとしては株式に偏っており、金利動向の影響を受けやすい債券市場の恩恵を取り込めない設計になっています。金利上昇局面が意識される中で、株式一辺倒のポートフォリオが本当に最適なのか、改めて問い直す動きが出てきています。
また、オルカンは世界株式指数への連動を掲げているものの、構成比率の面では米国株式への集中度が高いという指摘もあります。米国市場が好調な局面では高いリターンが期待できる一方、米国株が調整局面に入った際には、分散投資のはずが実質的に一国リスクを抱え込む形になりかねないという懸念です。より高いリターンを狙うのであれば成長株を組み合わせ、リスクを抑えたいのであれば債券を組み入れるなど、目的に応じた資産配分の工夫が求められる段階に入っているとみられます。
こうした議論が広がる背景には、為替市場の動向も無縁ではありません。22日のドル円相場は158.94円で推移しており、円安基調が続く中で外貨建て資産の評価額は押し上げられやすい環境にあります。オルカンのような海外株式中心の投資信託は、こうした為替変動の影響を直接受けるため、円安・円高いずれの局面でも資産価値が大きく振れる可能性がある点は留意すべき要素といえます。
国内株式市場に目を向けると、22日の日経平均株価は前日比200.43円安(-0.3%)の66,016.36円で取引されました。一方でTOPIXは105.18ポイントと前日からほぼ横ばいの動きにとどまっています。日本株市場が方向感に乏しい展開を見せる中、個人投資家の間では国内外の資産をどう組み合わせるかという判断がより重要性を増していると考えられます。
業界関係者の間では、多くの家庭がNISA口座での投資とは別に、預貯金など既存の安全資産を保有しているケースが多く、家計全体で見ればオルカン一択であっても一定のバランスは保たれているとの見方もあります。ただし、金利が上昇する局面が続けば、債券を組み込んだ運用の相対的な魅力が増す可能性もあり、単純な二分論では語れない状況です。
今後については、NISA制度を通じた個人投資のさらなる拡大が見込まれる一方で、オルカン一本に依存した運用から一歩踏み込み、債券や国内資産との組み合わせを検討する動きが広がっていく可能性があります。市場環境や金利、為替の動向を見極めながら、投資家それぞれのリスク許容度に応じた資産配分の再考が求められる局面が続くとみられます。
