初の女性首相でも日本117位、ジェンダーギャップ指数改善わずか
世界経済フォーラムが発表した2026年版ジェンダーギャップ報告書で、日本は145カ国中117位となりました。高市早苗首相の誕生にもかかわらず、政治分野の達成率改善はわずかにとどまりました。
世界経済フォーラム(WEF)は9月16日、2026年版のジェンダーギャップ報告書を発表しました。日本の総合順位は145カ国中117位で、前年の118位からわずかに上昇しました。高市早苗氏が自民党総裁選を経て初の女性首相に就任した歴史的な出来事があったにもかかわらず、全体としての改善は限定的なものにとどまっています。
報告書は、高市首相の誕生という「歴史的な出来事」がスコアの上昇につながったと前向きに評価しました。しかし政治分野の達成率は10.5%で、前年の8.5%からの上昇幅は2ポイントにとどまり、順位も121位と、前年の125位からわずかに改善したにすぎません。教育・健康・政治・経済の4分野のうち、政治分野が全体の順位を大きく引き下げる構造は変わっていません。
政治分野の達成率は、過去50年間における行政府の長(大統領や首相)の在任年数の男女比、衆院議員の女性比率、閣僚の男女比という3つの要素から算出されます。今回の報告書では、衆院議員の女性比率は約14%で、前回の16%から減少しました。また閣僚については、高市氏本人を除くと女性はわずか2人にとどまっています。首相という象徴的なポストに女性が就いた一方で、政治の裾野における女性の存在感はむしろ後退した形です。
この結果について、ジェンダー問題に詳しい専門家の間では、女性首相の誕生とジェンダー平等の実質的な前進は別の問題だとする見方が根強くあります。現在の日本社会では形式的にも男女の平等が十分に達成されていないとの指摘があり、トップに女性が立ったことだけをもって社会全体の変化を期待するのは早計だとする声が上がっています。
高市首相自身の政策スタンスも、こうした懸念と無縁ではありません。高市氏は選択的夫婦別姓制度の導入に長年反対の立場を取っており、同性婚についても否定的な姿勢を示しています。皇室における女性の皇位継承にも反対しており、社会や家庭における伝統的な女性の役割という考え方を支持してきた経緯があります。一方で総裁選の過程では、託児施設を提供する企業への税制優遇や、育児支出への減税の可能性に言及するなど、一部の発言を軟化させる場面も見られました。
日本は国会における女性議員の割合で主要7カ国(G7)の中で最下位に位置しており、指導的地位を男性が独占してきた構造は依然として根強く残っています。世界有数の高い教育水準を持ちながら、政治や企業の意思決定層における女性の存在感の低さが、日本のジェンダーギャップ指数を押し下げる主要因であり続けている状況です。
高市政権にとって、低迷する経済への対応やインフレ対策、政治への信頼回復といった課題が山積する中で、ジェンダー平等の問題が優先課題の上位に来ると見る向きは少ないのが実情です。今後、閣僚人事や国会議員の女性比率にどのような変化が生じるかが、次回以降の指数改善の鍵を握るとみられ、政治分野における実質的な取り組みの進展が注目されます。
