旧大阪市立大学病院の医療事故訴訟で大阪地裁、病院側に4600万円賠償命令
2019年に大阪市立大学病院で起きた医療事故をめぐる訴訟で、大阪地裁は16日、病院側に約4600万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。患者の死亡との因果関係は認めませんでした。
現在の大阪公立大学病院の前身である大阪市立大学病院で2019年に起きた医療事故をめぐり、遺族が病院を運営する公立大学法人大阪を訴えていた裁判で、大阪地裁は9月16日、病院側に約4600万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。
訴状などによりますと、2019年12月、当時79歳の男性患者が右手首の骨折の手術を受けた後、麻酔医が通常より多い量の鎮静薬などを投与し、容体が急変して一時心肺停止となりました。その後、男性は低酸素脳症となり、意識が回復しないまま2023年7月に死亡しました。
遺族側は、看護師による術後の観察が不十分で心肺停止の発見や対応が遅れたほか、医師から看護師への情報共有にも問題があったと主張し、約1億5000万円の損害賠償を求めて2024年11月に提訴していました。病院は重大な医療事故を可及的速やかに公表するとの内部基準を定めていましたが、事故発生から約3年間、報道機関などへの公表を行っていなかったことが2022年に明らかになり、病院側は会見で謝罪していました。当時の会見では、看護師が患者の脈拍などを測る機器の設定を誤っていたことや、医師から看護師への情報共有が不十分だったことなどにより発見が遅れたと説明していました。
大阪地裁は16日の判決で、看護師が脈拍などの経過観察を怠ったことなどにより男性が低酸素脳症を発症したと認定し、医療事故によって重い後遺障害が生じた責任を認めました。一方で、患者が死亡したのは事故から約3年半後で、死因も肺炎だったとして、事故と死亡との因果関係は認めませんでした。また、医療事故の公表の遅れについては「公表は公益目的のもので、原告らに対する義務として行われるものではない」として、不法行為には当たらないと判断しました。
亡くなった男性の長男は判決後、報道陣の取材に応じ、「父が生きてきた意味、父の尊厳を守るためにここまで闘ってきた。医療従事者のみなさんには同じような医療事故が二度とないように徹底していただきたい」と話しました。
判決を受け、病院側は「判決内容を精査したうえで、適切に対応してまいります。今後も医療安全の向上と再発防止に真摯に取り組んでまいります」とコメントしています。
今回の判決は、医療現場における術後観察の重要性や、重大事故発生時の情報公表のあり方に改めて焦点を当てるものとみられます。今後、病院側が判決内容を踏まえてどのような再発防止策を講じるか、また控訴の有無を含めた対応が注目されます。
