韓国国会、検察の「補完捜査」権限を廃止する刑訴法改正案を可決
韓国国会は2026年8月2日、検察が警察の捜査を補完する権限を廃止する刑事訴訟法改正案を可決した。与党「共に民主党」主導で成立したが、野党側は強く反発している。
韓国国会は2026年8月2日、検察が警察の捜査結果に対して補完捜査を要求できる権限を廃止する刑事訴訟法(刑訴法)改正案を可決しました。与党「共に民主党」など野党連合が賛成多数で押し切る形での成立となり、韓国の捜査権をめぐる制度が大きく変わることになります。
今回廃止される「補完捜査要求権」は、検察が警察から送致された事件の捜査が不十分と判断した際に、警察に追加捜査を求めることができる仕組みです。2021年の捜査権調整改革によって検察の直接捜査権が大幅に縮小された際、警察捜査の質を担保するための「安全弁」として設けられた経緯があります。導入から約5年を経て、今回その廃止が決定されました。
共に民主党などの改正推進側は、検察が補完捜査要求権を乱用することで警察捜査への不当な介入が続いているとして、廃止の必要性を主張してきました。捜査機関の権限分離をより明確にし、捜査手続きの効率化と透明性の向上につながるとの立場です。一方で、与党「国民の力」などの野党側は、補完捜査要求権がなくなれば証拠収集の不備や捜査の質の低下を招きかねないとして強く反発しており、採決前から国会内での対立が続いていました。
韓国では2021年以降、検察と警察の捜査権配分をめぐる制度改革が断続的に行われており、捜査権の「完全分離」を求める勢力と、検察の関与継続を主張する勢力との対立が政治的な争点となってきました。今回の改正はその延長線上にあるものとみられ、司法制度のあり方を通じた与野党の政治的攻防という側面も指摘されています。
法曹・司法関係の専門家の間では、今回の改正によって現場の捜査実務にどのような影響が出るかを見極める必要があるとの見方が出ています。特に、複雑な経済犯罪や組織犯罪の捜査において、検察と警察の連携が実質的にどう維持されるかが課題になるとみられています。
野党「国民の力」は今回の採決について「多数派による強行」と批判しており、改正法の施行後も法的・政治的な対抗措置を検討するとしています。また、改正法の施行時期や具体的な運用細則については今後政令や規則の整備が必要とみられ、実務上の移行期間における混乱を懸念する声も韓国国内の捜査機関関係者から上がっています。韓国の捜査権改革をめぐる議論は、今回の可決後もしばらく続く見通しです。
