立憲党員が架空女性装いAI投稿か 栃木県連「困惑」表明
立憲民主党栃木県連に登録する男性党員が、生成AIで作った架空の女性になりすまし、党名を掲げてX上で政治活動を発信していたことが8月19日までに分かりました。県連は困惑を示し、男性は「非常に軽率だった」と反省の意を示しています。
立憲民主党栃木県連に党員として登録している男性が、生成AI(人工知能)で作成したとみられる架空の女性になりすまし、X(旧ツイッター)上で選挙や政治活動に関する投稿を続けていたことが、8月19日までの県連への取材で分かりました。県連は「県連として一切関わっていなかったため困惑している」とコメントしています。
問題となったアカウントは「中村りほ@立憲民主党」の名義で、2024年6月(令和6年6月)に作成されていました。プロフィールには性暴力被害から妊娠、出産に至った経験を持つ人物であるとの説明が記され、女性支援や子育て支援、農業振興、地域活性化といった政策を掲げていました。しかし「中村りほ」という女性は実在せず、実際にアカウントを運用していたのは立憲民主党の党員である男性だったことが判明しています。
投稿には栃木県や長野県の地名を含む選挙・政治活動に関する内容が複数あり、画像には議員会館や選挙戦を思わせる場面を背景に女性が写り込んでいました。8月14日には「お産後初の政治活動」として鹿沼市内の住宅を訪ねたとする投稿があり、翌15日には「5月2日午前2時30分、3620gの女の子を出産しました」とする出産報告が掲載され、陣痛から出産までの経過が具体的に記されていました。別のアカウントでは「中村りほ氏(25)」が性暴力による望まない妊娠と出産を経験し、政治の場にその経験を届けるため選挙への挑戦を決意したとする紹介も行われ、後援会を「中村りほ後援会」へ移行するとの発信もありました。
県連によると、男性は2025年(令和7年)から栃木県連に党員登録し、街頭演説に訪れるなどしていましたが、県連がアカウントの運用を依頼した事実はないということです。県連の大貫毅代表は「発信の内容や表現から、あたかも党または県連の活動の一環として行われているかのような誤解を招きかねない。大変迷惑なことだ」とのコメントを出しました。党本部も状況を把握しており、男性に対してアカウント名などに「立憲民主党」と記載しないよう連絡しているということです。
男性は8月19日、書面で取材に回答し、「非常に軽率だった」と反省の言葉を述べました。架空の人物を作った理由については、女性や子育て、性暴力被害などの問題について発信したいという思いがあったと説明した一方、実在する人物であるかのような見せ方となり、受け手に誤解を与える発信になったと認めています。党名を掲げた経緯についても、党の政策や考え方に共感していたためだとしつつ、党関係者であるかのような誤解を招いたことを認識していると回答しました。
性暴力被害を人物設定に取り入れた点についても、男性は被害者や困難を抱える人を支援する政策を発信したかったとの意図を説明する一方、その目的があっても架空の人物を実在する政治活動家のように見せる方法が正当化されるわけではないとの認識を示しました。AIによって作られた人物や情報が受け手にとって真偽の判断を難しくすることを痛感したとも述べ、生成AIを利用する際にはAI生成であることを明確に表示する必要性に言及しています。
政党名を掲げたアカウントが実在しない人物を核に運用されていた今回のケースは、生成AIによる情報発信のリスクを改めて浮き彫りにしました。今後、党本部や県連による具体的な対応の行方とともに、政治分野における生成AIの利用ルールをめぐる議論が広がる可能性があります。
