モデルナ株が前週末比2.3倍に急騰、がんワクチン治験好調で脱AI相場鮮明に
皮膚がんワクチンの治験で良好な結果を出した米モデルナの株価が先週2.3倍に急騰し、AI株中心だった相場の主役交代が鮮明になりました。
先週(8月17~21日)の米国株式市場で、バイオ医薬品メーカーのモデルナ(MRNA)の株価が前週末比2.3倍という急騰を見せました。同社は皮膚がんワクチンの治験で良好な結果を発表しており、これが好感された形です。同時に、モデルナとがんワクチンを共同開発する大手製薬会社メルク(MRK)の株価も12.3%高となり、医薬品株が市場の主役に躍り出ました。
この動きの背景には、これまで相場をけん引してきたAI関連株からの資金シフトがあるとみられます。先週は世界的な長期金利の上昇や、AI企業による巨額の社債発行への懸念からAI株中心に株価が大きく下落していました。米国の10年国債利回りは一時、約20カ月ぶりとなる4.74%まで上昇し、30年国債の利回りも19年ぶりの5.3%台に達しています。
金利上昇の一因として指摘されているのが、AIデータセンター建設に向けたAI関連企業による起債の急増です。グーグルの親会社アルファベット(GOOG)は8月に2026年に入って3度目となる約4兆円の社債を発行しており、こうした巨額の起債が債券市場を圧迫し、長期金利の上昇を招く要因になっているとの見方が出ています。
実際、先週の米国市場ではAI向けストレージ企業のシーゲート・テクノロジー・ホールディングス(STX)が13%安、大規模増資を行った半導体大手インテル(INTC)が12%安と急落しました。日本市場でも、AIサーバー向けコンデンサーを手がける太陽誘電(6976)が15.6%安、シリコンウエハ製造のSUMCO(3436)が13.7%安となるなど、AI関連株の下落が目立ちました。
米国財務省のベッセント財務長官は19日、長期国債の買い戻し額を従来の2倍となる1回当たり40億ドル(約6,360億円)に増額すると発表し、金利上昇の抑制を図りました。しかし効果は1日限りにとどまり、長期金利は再び上昇に転じています。このため、AI株から個別の好材料を持つ非AI株へ資金が向かう「脱AI相場」の流れが強まったとみられます。
日本株でも同様の傾向がみられ、弁護士向け営業支援サイトを運営する弁護士ドットコム(6027)は先週19.3%上昇するなど、中小型のウェブ関連株が堅調に推移しました。AI半導体株への資金集中が緩んだことで、こうした周辺銘柄に投資マネーが向かった可能性があります。
今週は27日にAI関連の主力株エヌビディア(NVDA)の決算発表、28日にはジャクソンホール会議でのウォーシュFRB議長講演という、相場の急変につながりかねない重要イベントが控えています。エヌビディアの決算内容次第ではAI株が反転上昇する可能性がある一方、長期金利の上昇が続くようであれば、モデルナのような個別材料を持つ非AI株への資金シフトがさらに進む展開も考えられます。
