独ザクセン・アンハルト州議選、AfDが第1党に躍進 過半数には届かず
ドイツ東部ザクセン・アンハルト州の州議会選挙で、極右政党AfDが前回から得票を倍増させて第1党となりました。単独過半数には届かなかったものの、戦後ドイツで極右政党がこれほどの勝利を収めたのは初めてとされ、メルツ政権への圧力が強まっています。
ドイツ東部の旧東独ザクセン・アンハルト州で6日に行われた州議会選挙で、移民排斥を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第1党の座を確実にしたことが分かりました。時事通信によると、AfDは2021年の前回選挙から得票を倍増させる圧勝となりましたが、単独過半数には届きませんでした。
同州議会の定数は83で、AfDは過半数まであと3議席に迫る結果となりました。AfDの州首相候補を務めるジークムント州議は「歴史を刻んだ」と勝利を宣言しています。政権樹立には他党の協力が必要で、AfDとの連携を唯一排除していないポピュリスト新党BSWの動向が今後の政局を左右するとみられます。ジークムント州議は「妥協はしない」と強調しており、新政権の枠組みは流動的な状況が続く見通しです。
一方、メルツ首相率いる保守与党キリスト教民主同盟は前回から得票を大きく落とし、惨敗しました。メルツ氏は党内での求心力低下が指摘されており、首相交代を求める動きが活発化しつつあるとされます。社会民主党や緑の党、東独独裁政党の流れをくむ左派党も一定の支持を集めましたが、AfDの躍進の勢いには及ばなかった模様です。
ザクセン・アンハルト州は全国の有権者5900万人に対し、有権者数がわずか170万人にとどまる小さな州ですが、その政治的な意味合いは国内外で重く受け止められています。BBCのカティヤ・アドラー欧州編集長は、極右の民族主義的政党が選挙でこれほどの勝利を収めたのは、1945年の第三帝国崩壊以降で初めてのことだと指摘しています。ドイツ当局はAfDについて反民主主義的な側面があると認定し、同州などの支部を「右翼過激派」に指定してきましたが、支持の広がりに歯止めがかかっていない状況です。
背景には、東西ドイツの経済格差が根強く残っている実情があるとみられます。ドイツ政府は1989年のベルリンの壁崩壊後、旧共産圏だった東部の統合に2兆3000億〜3兆ユーロを投じてきましたが、ザクセン・アンハルト州はドイツで最も貧しい州とされ、共産主義体制時代を懐かしむ「オスタルギー」と呼ばれる感情が一部の住民の間に見られるといわれています。
国外からの反応も相次ぎました。トランプ米大統領は6日、同州の出口調査結果の画像を自身のソーシャルメディアに投稿しました。ロシアの実業家で同国直接投資基金のキリル・ドミトリエフ最高経営責任者(CEO)は、AfDの結果を「歴史的」と評価する一方、独連邦政府は「信用を失った」、メルツ首相にとっては「屈辱的」な結果だと主張しています。AfDはウクライナへの軍事支援停止や対ロシア制裁の解除を求めるなど、ロシア寄りの姿勢を示していることが背景にあるとみられます。
欧州でも懸念が広がっています。フランスのマクロン大統領に近いアダッド欧州担当相は「欧州にとって深刻な局面」と警告しました。今後12カ月にはフランスやイタリア、スペイン、ポーランドなど主要国で選挙が相次ぐ予定で、EUは右派の「過激派」政党の躍進が全域に広がることを警戒しているとみられます。今回の州議選の結果が、国政レベルのメルツ政権の運営や、来るべき欧州各国の選挙戦にどう影響するか、今後の動向が注目されます。
