外国人の生活保護、最高裁が受給権認めず初判断示す
外国籍の人に生活保護を受ける権利があるかが争われた訴訟で、最高裁は権利を認めない判断を示しました。判事1人からは「排除は違憲」とする反対意見も出されました。
外国籍の人が生活保護法に基づく受給権を持つかどうかが争われた訴訟で、最高裁は原告の請求を退ける判断を示しました。外国人の生活保護受給権について最高裁が判断を示すのは今回が初めてで、朝日新聞や時事通信(Yahoo!ニュース配信)などが報じています。
生活保護法は対象を「国民」と定めており、外国籍の人には法律上の受給権が明文で保障されているわけではありません。実務上は1954年の厚生省(当時)通知に基づき、生活に困窮する永住者や定住者などの外国人に対して生活保護に準じた保護を行政の裁量で実施してきた経緯があります。今回の訴訟は、この「準用」にとどまる扱いを超えて、外国人にも法的な受給権があると認められるかが争点となりました。
最高裁は、生活保護法が対象を国民に限定している以上、外国人に法律上の受給権を認めることはできないとの立場を示し、原告の敗訴が確定しました。一方で、判事1人からは外国人を法的保護の対象から排除すること自体が憲法に反するとの反対意見が出されており、司法内部でも判断が分かれたことが明らかになりました。
この判決は、これまで行政通知に基づく運用で支えられてきた外国人への生活保護対応の法的位置づけを改めて示した形です。受給権という法的な権利としては認めない一方、行政運用としての保護自体を直ちに否定するものではないとみられ、現場の自治体窓口での対応が急激に変わる可能性は低いとみられます。
ただし、法律上の権利として認められないという最高裁の判断は、今後、外国人が生活保護の決定を争う訴訟を起こす際のハードルとして意識される可能性があります。行政の裁量に委ねられた「準用」という枠組みのままでよいのか、外国人支援の実務や制度設計をめぐる議論が改めて呼び起こされることが見込まれます。
在留外国人の増加が続く中、生活困窮に陥った際のセーフティーネットのあり方は、地方自治体や支援団体にとって実務上の課題であり続けてきました。今回の最高裁判断を受けて、外国人支援に関わる自治体窓口や専門家の間では、運用実態と法的権利の乖離について改めて議論が交わされる可能性があります。
今後は、今回の最高裁判断が国会での生活保護法改正論議や、外国人の社会保障制度全般をめぐる議論にどう波及するかが注目されます。反対意見が示された点も踏まえ、法整備の必要性を訴える声が強まるか、現行の行政運用の継続で対応が図られるか、今後の政策動向が注視されます。
