外国人への生活保護不支給を是認、最高裁が上告退ける 判事1人「違憲」
腎機能障害を持つガーナ国籍の男性が生活保護の適用を求めた訴訟で、最高裁は上告を退け、外国人を保護対象外とした一、二審判決が確定しました。判事1人は反対意見で「違憲」と指摘しています。
医療を受けるための在留資格を持つガーナ国籍の男性が、外国人であることを理由に生活保護の申請を却下されたのは違法だとして争っていた訴訟で、最高裁判所第二小法廷(三浦守裁判長)は今月9日付で男性の上告を退ける決定をしました。これにより、外国人を生活保護法の保護対象外とした一審・千葉地裁、二審・東京高裁の判決が確定しました。
報道によると、原告の男性(36)は2015年に来日し、19年に慢性腎不全と診断されたことから、医療を受けるための「特定活動」の在留資格に切り替わり、就労ができなくなりました。21年に千葉市へ生活保護を申請しましたが、対象外として却下されたため、その取り消しを求めて提訴していました。
生活保護法は保護の対象を「国民」と定めています。最高裁は2014年の判決で、外国人については「保護の対象ではなく、受給権もない」との判断を示していました。一方で旧厚生省は1954年、行政の裁量で外国人にも保護を準用できるとする通知を出しており、現在は在日コリアンなどの特別永住者ら一部の外国籍者が保護対象とされています。今回の一審・千葉地裁は、この2014年の最高裁判例に沿い、外国人に法律上の受給権はないとしたうえで、行政裁量による保護も在留資格を持つ全ての外国人に及ぶわけではないと判断し、男性側の訴えを退けていました。二審の東京高裁も同様の結論を維持していました。
最高裁第二小法廷の判断は、裁判官4人のうち3人による多数意見でした。決定では、上告理由となる憲法違反などは認められないとだけ述べられています。一方、検察官出身の三浦裁判官は反対意見を付し、男性のように医療を受けるための在留資格を持つ人らを保護対象から除外することは「違憲」だと判断しました。
三浦裁判官は反対意見の中で、こうした人々を保護しないことは「生存に危険を生じさせ、著しく人道に反し、個人の尊厳をないがしろにするもの」であり、日本国民と異なる法律上の取り扱いをすべき合理的な根拠はないと指摘しました。さらに国連の社会権規約などを踏まえ、少なくとも医療目的の在留資格を持つ外国人のほか、難民認定者や、紛争から逃れた人らを難民に準じて保護する「補完的保護対象者」を保護対象から除くことは、生存権を保障した憲法25条と法の下の平等を定める憲法14条に違反し無効だと述べました。そのうえで、審理を尽くさせるために高裁へ差し戻すべきだったとの見解も示しています。
三浦裁判官はまた、外国人の生活保護に関する法整備を国会が長年怠り、対応を自治体の裁量に委ねている現状について、国として外国人の生存と尊厳をおろそかにしていると言わざるを得ないと述べました。ただし、こうした反対意見は全国の裁判所を拘束する判例とはならないため、直ちに制度変更につながるものではありません。
今回の決定により、外国人の生活保護に関する法的な枠組みは、当面は自治体の行政裁量に委ねられた状態が続く見通しです。医療目的の在留資格者や難民認定者らの生活基盤をめぐる課題は今後も残るとみられ、国会での法整備の是非を含め、議論が続く可能性があります。
